2018年07月02日

愚者の毒

『愚者の毒』は、6月の最初に新聞の書評ですごく褒めてあったので kindle版を購入。山口との往復の新幹線で読んでしまいました。たしかに面白かったです。

ミステリーとしての仕掛けは最初からみえみえでしたが、それはどうでもよいこと。語り手は生年月日が全く同じ二人の女性。その二人が1985年の春、35歳の時、職安で出会うのです。第一章の語り手は葉子。借金苦で心中した妹夫婦の残した幼子・達也を引き取って一生懸命育てているんですが、発達障害があってとても苦労しているんです、妹夫婦の借金まで背負って。心を寄せてしまいますよね〜。そんな彼女と友だちになったのが、職安でであった同じ生年月日の希美。彼女は葉子に住み込みの家政婦の仕事を紹介してくれるのでした。その家には昔理科の教師をしていた「先生」とその息子(亡くなった奥さんの前夫との子)が静かに暮らしていて、葉子と達也は幸せな暮らしを始めるんです。もちろん希美もときどき遊びに来てくれて仲のいい友だちづきあいが続きます。読んでいてとても幸せになります。しかし……。

葉子が語る第一章が終わると、次は希美が彼女の少女時代を語ります。舞台は九州の廃鉱の集落。第一章に出てくる明るい希美とは全くイメージが変わってしまいます。とても辛い少女時代……。そして悪役が登場するんです。面白くなると言うより、ちょっとしんどくなります(読んだ順は逆になりますが、最近読んだ戯曲『パーマ屋スミレ』でも九州の炭鉱での理不尽な状況の中で生きていく人、死んでいく人の切ない話が描かれていました)。希美と幼馴染のユウ(第3の主要人物)をだれもが応援したくなってしまいます。しかし二人は已むに已まれぬ事情からある犯罪に手を染めてしまいます……

第三章ではの内容はご自分でお読みください。

登場人物たちの人生がどう絡み合っていったのか……読み終えて切ないものが残ります。おススメです。
posted by dunno at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書