2015年10月12日

東京での一日(2)唐組篇

10月10日の話の続きです。時間を戻して整理券を取るところから……。

今回の芝居は『鯨リチャード』。ゲイ・リチャードと読みます。チラシによると次のような内容のお話です:
鯨(げい)カツ屋で見つけた一人のリチャード!
ああ、リチャード三世が鯨カツを揚げている……
青春の野望と嵐が鯨油の匂いとともに沸き立つ。

さっぱりこれでは内容が想像できませんが、ともかく、鯨カツ屋の話なのですね……。もう少し詳しいあらすじが唐組のブログで読めますのでそちらもどうぞ(チラシにも載っています):

http://ameblo.jp/karagumi/entry-12057715537.html

また、facebookの唐組ページにも情報がたくさんあります。

そこでみつけたページもどうぞ:
eplus 唐十郎さん&唐組の皆さんより、次回公演『鯨リチャード』の“ご挨拶”(動画)
http://spice.eplus.jp/articles/14755

動画で劇団員が勢揃いしているところが出てきますが、一番前の藤井由紀さんの後ろに立っている二人の女性のうち、大きい方が赤松由美さん、右の小さい方が土屋真衣さん。土屋さんはここ数年、飛び抜けて存在感のある女優さんになりました。この劇団で一番好きな女優さんです。また、稽古風景も見ることができます。その時流れる曲は、芝居を見た後にもずっと頭の中をぐるぐるまわった「あの」曲。これがいいんです、なかなか。ともかくこの動画はオススメです。

それでは昼間の紅テントの様子です。

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並んでいる白いテントは楽屋です。

だいたい整理券配布の20分〜30分ぐらい前から皆さん並ばれるようです。
電話予約の場合は送られてくる前売り券に直接番号が記入されています。前売り券の場合は並んで整理番号をもらうわけです。当日券は値段も100円高いし、電話予約や前売り券のひとのあとに入場となるので席はどうしても悪くなりがちです。

さて、今回はmixiの赤松さん応援のコミュニティで知り合って、2011年の「矢野誠プロデュース『1974』第二夜・噫無情」コンサートでただ一度だけお目にかかったTさんも同じ日にごらんになるようだったので、連絡をとって、会場で会いましょうということになっていました。

2011年5月15日
矢野誠プロデュース『1974』第二夜・噫無情
http://flim-flam.sblo.jp/article/45190666.html

ぼくと、芝居を一緒にみる長男は、御茶ノ水駅で待ち合わせして、6時少し前に会場に到着。まだほとんど人が集まっていなかったので適当に座って待ちました。やがてたくさんのお仲間と一緒に来られた方がTさんのようだったので、こちらに来られるときにじっと目を向けたら、そちらもしばらくじっと見て、お互いに了解して、声をかけあいました。やはりTさんでした。

Tさんやお仲間の一人も、四谷シモン人形展を初日にごらんになったとのこと。とてもにぎやかだったそうです。東京の人はいいですね〜。田口いくこさんのこと、先日亡くなった安保由夫さんのことなんかもお話できました。

亡くなった……といえば、扇田昭彦さんも今年の6月に亡くなられました。唐十郎さんももう元の唐さんではなくなってしまったし、どんどんこの世界がさみしくなっていきます。

田口いくこさんについては、40歳の頃に亡くなられたという方が多いようですが、別の方面からは長崎に戻っておられるという話も聞きました。ぼくはお元気にしておられることを信じています。

夕方は6時半開場となっていますが、実際には6時半を過ぎた頃からチケットの種類順に列を作って並ぶ作業が始まり、番号の確認、靴袋の配布などがあります。だんだんわくわくしてくる時です。

劇団一の美人女優・藤井由紀さんがずっと普通のお姿で受付をしておられたので、いいのかなぁと思って見ていました。他の俳優さんはメイクをした状態で観客の整理にあたっておられたのですが……。その謎は芝居を見て解けました。それはまた後で。

そうそう、今回はほとんどいつも主役を演じられる稲荷卓央さんの名前が役者の中になくて、チラシにも「役者武者修行中!!」となっています。どこかで別の芝居に出ておられるのでしょうか。

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↑夕刻の紅テント

先ほども書いたように予約の列と前売り券の列とが並んで入ります。今回は長男と自分で1番2番でしたから、花道際の最前列に座りました。確かに、つばは飛ぶし、見上げるので首も痛くなります。でもやはり一番前が好きです。Tさんは電話予約の10番台でした。花道右の最前列は空いていたのですが、ぼくの真後ろに座られたので、またお話ができました。いつも、左の最前列に座られるんだそうです。また後日見に来られるのでその時には一番前でごらんになるかもしれません。

いつもの通り、先頭の席の前にはビニールシートが用意されていました。いつもなら「水をよけてください」と説明がありますが、今回はなんと「食材が飛んできますから……」と言われてしまいました。鯨カツのお店で「食材」って、キャベツくらいならいいのですが、まさかソースとか、辛子とかだったりするとけっこうピンチかもと、やや心配になりましたが、まあ血糊よりはいいかもしれません。結論を書いてしまうと、キャベツ、パン粉、小麦粉、ソース、辛子、そして生卵などが使われました。生卵を見たときはさすがにあせりました(笑)。舞台はどろどろになりましたが、幸い客席までは飛んできませんでした。これから観に行かれる方、安心して前に座ってください。

さて、芝居です。演出の久保井研さんの挨拶から始まりました。

舞台は新宿西口・ションベン横丁(思い出横丁)の鯨カツ屋。途中の2場(?)はそれが一気にガード下の通路に変わります。休憩後の第3場はまた鯨カツ屋。

主人公の若者・田口(いつも田口ですね〜)に若手の福本雄樹さんでした。本来、稲荷さんがやるタイプの役です。もう一人の主演は鯨カツ屋の主人(まるで貞子みたいに見える)が気田睦。いいコンビでした。唐十郎の芝居を見たことのない人は、アングラというイメージできっと違うものを想像してしまうんじゃないかな。だけど本質的に、弱い人、優しい人、普通の世界からはみ出てしまった人たちが妄想の世界へ飛び立っていくような話がたくさんあります。ぼくはこの芝居を見ながら、最初にみた唐の芝居「盲導犬」の、石橋蓮司の演じる盲人と蟹江敬三の演じるフーテン少年のコンビを思い出していました。ふとしたはずみで関わりをもって、いろいろ起こるけれど、決して相手を裏切らない二人です。

田口は勤め先の上司の妹・庵(「いおり」ですが、「あん」とも呼ばれます)のことを好きで、彼女のいいなり。きっとこれが藤井由紀さんだろうと思いました。それは当たっていたんですが……実は、なかなか舞台に出てこないんです。開演前に舞台メイクをしておく必要が全くないということの理由がわかりました。ファンの方、残念ですけど彼女のシーンは全体の長さ110分と比べるとほんの一瞬(--;。あまり期待しないで観に行ってください。

赤松さんは藤井さんよりやや長めに登場されますが、なんといっていいか、あんまりな役です。春の公演でもなんだかかわいそうな役でした。くじけず、続けてほしいです。

見せ場があまりないもう一人が岩戸秀年さん。レスリー・チャンと似たすごく雰囲気のいい人。

すごい俳優さんたちをあまり使わないのはもったいない気もします。若手を育てるためかもしれません。
そのおかげもあってか、土屋真衣さんはいい役をもらっていました。最近の舞台では、ぼくは土屋さんの中に田口いくこさんの姿を見ていたんです。ただし、土屋さんは田口さんより器用な方。コミカルな演技もできる人です。今回は、まるで昔の李礼仙さんのように見えました☆ これからさらに飛躍してほしいと思います。

ともかく土屋さんをたっぷり堪能できて満足しました。Tさんは……赤松さんのファンですから、なんだかがっかりしておられました。またの再開を約してお別れしました。

我々(ぼくと長男)は新宿の西口に行こうじゃないか! ということになりJRで新宿に行きました。もう西口開発かなんかで無くなっているんだろうと思っていましたが、まだあるんですね。そばは通ったけれど、中を通り抜けたりしたことはありませんでした。今回行ってみて、その賑わいにびっくり。外国人(西洋人・東洋人あれこれ)がいっぱいです! カウンター式のお店がほとんどですが、ハングルや中国語、英語のメニューがありますと書いてあります。スマホで写真や動画を撮っている外国の方もいっぱい。皆さん、とても楽しそう。そういう名所になっているんですね〜。びっくりしました。ともかく人が多くて席の空くのを待っている人もたくさんいました。長男がどこかに入ろうかと言いましたが、ぼくはちょっとこの騒がしさではとてもじゃないけれど落ち着かないので「もっと普通のところに行こう」と返事をして、結局、大ガードの通路を通って東口に行き、新宿通りを三丁目方面に向かいました。

伊勢丹のところを渡って昔、アートシアターのあったところの道に入り、ここの地下に蠍座というミニシアターがあったんだよ、などといいながら、長男のあとをついて行きました。そう、「盲導犬」を見たときもここの建物に沿って並んで開場を待ったんです。懐かしい……。そういえばアートシアターの支配人だった葛井欣士郎さんも昨年亡くなられました。

Wikipedia: 葛井欣士郎

さて、末廣亭の斜め前の道をまがって少し行ったところにある「どん底」が目指す店でした。ぼくは入ったことはありません(というか、そもそもこういう店に入ることはないんです。出張などで仲間と飲んでも最後は喫茶店のケーキセットで仕上げというパターンが一番多い)。かなりいっぱいでしたが、地下に2席あいていて座ることができました。長男はなじみのようでした。ここで楽しい時間を過ごしました。あがた森魚の話をしていたら、気を利かしてそのCDをかけてくださいました。ありがたいことです。そして、本当に驚いたのはカウンターの中にいた人のひとりが、長男と中学校が同じ(東松山市)で長男の2年下。もちろん同じ団地。共通の知人がたくさん。いやあ、こんなことってあるんですね。

12時近くなった頃、店を出ました。雨もぽつぽつしていたので、タクシーで帰ろうということになり明治通りを渡りましたが、それならせっかくだから花園神社に行こう!(唐組をみたあとだから当然ですよね)ということになり、ついでに通り抜けて、ゴールデン街に行きました。なんと、長男はこのあたりにもよく出没するとのこと。そんなに飲んでちゃ、貯金が空っぽになるし、結婚できないのも当然ですね〜。

ゴールデン街を抜けて区役所通りにでたら、ぜひ行ってみたいところを思いついてしまいました。「風林会館ってまだあるかなぁ」と長男に聴くと「あそこに見えるよ」というので、そちらを目指しました。「風林会館の向かいに、鍵型になった路地があって、そこに昔『かくれんぼ』っていうバーがあったんだよ」と説明。「そこでねぇ、状況劇場にいた田口いくこさんがアルバイトしてたんだ。父ちゃんは店に入ったことはないけどねぇ。鈴木清順監督の奥さんがやっていた店なんだ……」などと言いながら歩いて行くと、なんとその路地が折れるところに、『かくれんぼ』がまだ残っていたのでした。

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この路地は「新宿センター街」っていうんですか……名前がついているとは知りませんでした。「思い出の抜け道」ですか……。1951年ってさっきまでいた「どん底」ができた年と同じですね。

こんなページもありましたのでどうぞ:
「新宿センター街・思い出の抜け道」
http://e.deepannai.info/kabukicho-omoide-no-nukemichi/
「渋井哲也の気ままに朝帰り」戦前からの建物がある「新宿センター街」
http://npn.co.jp/article/detail/90972246/
下の記事に出てくるKがきっとかくれんぼですね。

このあと明治通りに戻ってタクシーをひろい、長男のところにいきました。とても楽しい一日でした。

[2015.10.13 追加]
※唐組のブログを見ていたら、気田さんと土屋さんのインタビュー記事が紹介されていました。面白かったのでリンクしておきます。
http://magcul.net/focus/tachinomi1/
タグ:唐組
posted by dunno at 13:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇
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