2017年02月10日

湾生回家

2月5日(日)、シネマクレール丸の内で『湾生回家(わんせいかいか)』を観ました。

台湾は1895年から1945年までの50年間も日本の統治下にありました。「湾生」というのはその時代に「台湾で生まれ育った日本人」という意味です。この映画はその「湾生」たちのドキュメンタリー映画(台湾映画)です。台湾でもかなりヒットしたそうです。

公式サイト
http://www.wansei.com/


7分ちょっとの長い予告篇(本編にはないシーンもあるような気がします):
映画《湾生帰郷物語》7分間予告篇


この映画を紹介した、16分ぐらいの台湾のテレビ番組もありました:
在台灣找到的歸屬 「灣生」回家了|台灣亮起來|三立新聞台


この動画の中に出てきますが、富永さんという湾生の方が今でも好きな歌というのが「雨夜花」という歌。わ、すごくよく知ってるんだけど……と思って「雨夜花」で探したらテレサ・テンが日本語でも歌っていました。うちのCDにもはいっていました。テレサ・テンの半分日本語バージョンをどうぞ:

こちらでは「台湾民謡」となっていますが、作詞者のお名前が出ていますね。別の動画では作曲者のお名前も出ていました。本当の意味の民謡ではないんでしょう。発音が普通話とは違うんですね。福建語?
CDバージョンもありますね:
https://youtu.be/R5L-PbCwL9o

亜矢ちゃんも好きなんだけど、実はテレサ・テンさんはすごく好き。一番たくさんCDを持っているのはテレサ・テンさんかも(2番目は中島みゆきさん、3番目がベット・ミドラー)。昔、アメリカに留学するので成田から飛行機で飛び立ったとき、頭の中をぐるぐる回っていたのは、テレサ・テンさんの「空港」でした(笑)。アメリカ留学中、一番たくさん聴いたのは彼女のカセットでした。そして、彼女が出ているわけではないけれど『甜蜜蜜』はオールタイム・ベスト・10映画のひとつです。まあ、テレサ・テンさんのことは別の機会に思いっきり書くことにして、映画『甜蜜蜜』のことを書いた昔のページへのリンクだけ張っておきます。
http://surgery.matrix.jp/ent/movies/essay/m007.html

さて、映画のタイトルの「回家」ですが、これはもちろん「家に帰る」つまり「故郷に帰る」ということで、湾生たちが台湾を訪れる……ということですね。実際、出演者の多くが何度も何度も台湾に戻っています。上で出てきた富永さんのように無邪気にしておられる方もあれば、女学生の時には気づかなかった台湾人の立場が、後になってわかって複雑な気持ちで「回家」される方もあります。ぼく自身も、こういう映画を観るときに、いささかためらわれる気持ちがあります。日本人であることの引け目ってありますよね。台湾で大変な暮らしをされた方でも、実は近所の台湾人からみるとレベルが違う生活をしていたんです。そういうことを忘れてはいけないですね。戦後に生まれたぼくたちでも。今の若い人はそういうことを忘れてもいいんだとでもいうような安倍の態度は本当に恥ずかしいと思います。

ところで、「回家」じゃない人もこの映画には出てきます。シングルマザーだった母親に、台湾人の家に将来の嫁として養子にして置いて行かれた片山清子さんです。彼女はそのままその家の嫁になりました。その清子さんが病気になり、身動きができなくなって、でも母親に会いたい、せめて墓参りだけでもしたい……その気持ちを汲んで、娘や孫娘たちが清子さんを置いていった母親・千歳さんの消息を求めて、なんと岡山に何度も来るんです。このエピソードは、涙なくして観れなかったです。千歳さんは正式に清子さんを養子に出していたので、その記録が台湾の戸籍に残っていて、千歳さんの本籍はわかっていたのですが、肝心なお墓などはなかなか見つかりませんでした。そもそもずっと大阪に住んでおられたのです。でも、本当に嬉しいことに、千歳さんのお墓が見つかるんです。千歳さんのことを憶えていた人たちも見つかりました。なんとそのうちのお一人(?)がシネマクレールに、この日、来ておられたんです! 映画が始まる前にロビーの椅子に座って、一緒に来た人たちに、何か戸籍のコピーのようなものを見せたり、メモ書きのコピーの説明などをしておられたんですが、まさにそれは岡山市役所で見つかった千歳さんの戸籍などだったのでしょう。その方はもちろん映画にも写っておられましたし、上の台湾のテレビ番組の一番最後のあたりでも写真が出ていました。

いい映画でした。未見の方は、チャンスがあればぜひどうぞ。もうじきDVDも出るのでしょうか。オススメです。

個人的に、若い頃、台湾の人とはかなり仲良くしたしよくしてもらったりしました。ヴァージニア工大に留学中、3年間、一番仲良くしたのは Fred H. という台湾からの留学生。ぼくと同じ年にアメリカに行き、同じ年に学位を取ってアメリカ国内で就職しました。だけど、彼と彼の家族はビザ関係でトラブルがおき deported されてしまい、台北か台中の大学に移りました。その後なんとなく疎遠になって今は連絡が取れません。ぼくがバージニアからミシガンに移って、そこで一番親しくしたのも台湾からきた Felix H. でした。彼は本省人で、外省人とは決して付き合わず、だれそれとだれそれはスパイだとか、かなりきつい言い方で非難していました。 彼ともその後、連絡が途絶えてしまいました。元気にしているのでしょうか。ぼくはつきあいが浅い体質があるんですね。なにかそこに引け目みたいなものがあります。

※ 本省人、外省人のことを書きましたが、映画の中では高砂族の兵士たちの写真も出てきました。今回の映画では彼らのことはあまり取り上げられませんでしたが、なんで彼らが日本軍の兵士として闘わなければならなかったのかとおもうと胸が痛くなります。

ところで、公式サイトに解説を書いておられる稲見公仁子さんって、昔、シネマジャーナルにも関わってくださっていたあの稲見さんですね。「台湾影視研究所」なんていうのもやっておられます:
http://qnico-tw.blogspot.jp/
懐かしい……。
posted by dunno at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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