2017年08月06日

傍らにいた人

土曜日の日経に詩歌教養のページというのがあって、俳句や短歌のとなりに連載ものが載っています。今連載されているのは堀江敏幸さんの「傍らにいた人」。小説の中の主人公ではなくて、脇役に注目した文学紹介になっています。これが面白い☆☆☆ きちんと切り抜いたり記録をとったりしているわけではないので、ネットで集めた情報ですが、これまでの内容をここに載せておきます:

03/04 (01) 國木田独歩「忘れえぬ人々」 「生の孤立」感じた時 すれ違う
03/11 (02) 安岡章太郎「夕陽の河岸」 死神のごとく現れた黒い影
03/18 (03) 井伏鱒二「鯉」 隠された黒く冷たいもの
03/25 (04) 井伏鱒二「スガレ追ひ」
04/01 (05) マルセル・ムルージ「涙」「エンリコ」 死神に等しい使いの白い影
04/08 (06) 瀧井孝作 「父」 読み手揺さぶる一人目の継母
04/15 (07) 堀江敏幸 瀧井孝作「父」(下) 「私」のなかで生き続ける生母
04/22 (08) 堀江敏幸 佐多稲子「水」 浄化された母を悼む涙
04/29 (09) 内田百 「見送り」 船上で遅刻の奇妙な言い訳
05/06 (10) 堀江敏幸 正宗白鳥「リー兄さん」 死んだ弟を呼び出した女性
05/13 (11) 藤枝静男 「悲しいだけ」 妻の死を悼む酷薄の描写
05/20 (12) 尾崎 翠「松林」 少女の気配がもたらす昂奮
05/27 (13) 寺田 寅彦 「嵐」 嵐の後に浮かび上がる女性
06/03 (14) 島崎 藤村 「海岸」 「娘」に投影される作者の内面
06/10 (15) 芥川龍之介 「微笑」 厠の人となった親友 「久米正雄」
06/17 (16) 不吉を暗示する小さな虫
06/24 (17) 日影丈吉「かむなぎうた」 想いを寄せる少女の幻覚
07/01 (18) 梅崎 春生「小さな町にて」 子を宿した女性が導く悟り
07/08 (19) 小山清「小さな町」 焼失した町と人々の影拾う
07/15 (20) シャルル=ルイ・フィリップ 「小さき町にて」 庶民の視線で幸福考える
07/22 (21) シャルル=ルイ・フィリップ 「小さき町にて」 罪深い人間に注文した木靴
07/29 (22) 野呂 邦暢 「小さな町にて」
08/05 (23) 野呂邦暢「失われた兵士たち―戦争文学試論―」 兵士たちが残した言葉拾う
[以下毎週追加します]
08/12 (24) 安岡章太郎「遁走」 軍隊のヤル気の正体見抜く
08/19 (25) 田村泰次郎「銃について」 「恋人」介して支え合う男たち
08/26 (26) 小島信夫「小銃」 暗部を見た人のやさしさ
09/02 (27) 長谷川四郎「小さな礼拝堂」 消えない凍てついた真空地帯
09/09 (28) 石原吉郎「サンチョ・パンサの帰郷」 もうひとりの自分の耳鳴り
09/16 (29) 北條民雄「いのちの初夜」 生きのびるという厳しい啓示
09/23 (30) 北條民雄「川端康成との往復書簡」 文豪の励ましに応えた若者
09/30 (31) 川端康成「骨拾ひ」 乾いた自分という他人
10/07 (32) 川端康成「日向」 北に顔を向けなかった祖父
10/14 (33) 川端康成「合掌」 虚の言葉が可能にする真実
10/21 (34) 川端康成「心中」 狂乱を帯びた4通の手紙
10/28 (35) 梶井基次郎「川端康成第四短篇集「心中」を主題とするヴァリエイシヨン」 正しくなぞる幻視のの糸
11/4 (36) 梶井基次郎「闇の絵巻」(上) 川端康成の告白と後悔
11/11 (37) 梶井基次郎「闇の絵巻」(下) 不治の病告げる不吉な響
11/18 (38) 梶井基次郎「檸檬」(上) けっして腐敗しない「塊」
11/25 (39) 梶井基次郎「檸檬」(中) 幻視を準備するための言葉
12/2 (40) 梶井基次郎「檸檬」(下) 覚悟を決めて置いた手玉
12/9 (41) 芥川龍之介「蜜柑」 気鬱な世界を変えた投擲

気になった作品をamazonで調べるとすごく高い古書しかなかったりしますので、本気で付き合うなら図書館を利用するしかなそうです。でも検索していると関連する文庫本なんかがあったりして、小山清という方の「落穂拾い・犬の生活」(ちくま文庫)を本屋さんに行って購入しました。連載の(18)からずっと「小さな町」シリーズが続いていてるんです。小山清さんの「小さな町」は彼が新聞配達尾していた下谷竜泉寺町のことを描いた作品。ちくま文庫にもその時の話がでてきたりするんです。表題作になっている「落穂拾い」は下谷ではなく武蔵野市に住んでいるという設定。あまり誰とも話をしない主人公(語り手)がいつも戸が開いている古本屋だけには抵抗なく入れて、しかも経営者である若い女性と親しく話せるようになる話は、読後なんだか胸がときめいてくるお話でした。表題作だから解説になにか書いてあるかな……と思って最後の解説を読んだら……ほとんどがこの短編の話でした。それもとてもショッキングな……。解説を読んで泣いた……というのは初めてかも。今これを書いていても胸が痛くなります。作品はそれだけで味わえばいいのでしょうが、それが書かれた状況、そしてその後のことを知るとまた別の感想が得られるのは仕方ないですね。

いい作品集です。もったいないので少しずつ、少しずつ読んでいます。オススメです。

「傍らにいた人」も将来的には単行本になるのでしょう。楽しみです。 
posted by dunno at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書
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