2018年02月11日

サーミの血

2月9日に、シネマクレール丸の内で『サーミの血』を観ました。最終日で駆け込んだ人が多かったのか、かなりたくさんの人がおられました。映画を語る会のA澤さんも入ってこられて、たまたまぼくの隣があいていて、並んで観ることができました。面白い映画の情報もいただきました。

公式サイト
http://www.uplink.co.jp/sami/


1930年代におけるスウェーデンでの民族差別を扱った映画です。公式サイトによれば
サーミ人とは、ラップランド地方、いわゆるノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北部とロシアのコラ半島でトナカイを飼い暮らし、フィンランド語に近い独自の言語を持つ先住民族。映画の主な舞台となる1930年代、スウェーデンのサーミ人は他の人種より劣った民族として差別された

のだそうです。

ラップランドというと子どもの時に読んだアンデルセン童話集の「雪の女王」に出てきたのを覚えています。岩波文庫の「アンデルセン童話集2」(大畑末吉訳)に入っていました。旧仮名遣いでしたが何度も何度も読み返しました。とても気に入っていたので自分でも買って、新しくなった現代仮名遣いの版を持っています。カイが雪の女王にさらわれて、いろんなところを旅するゲルダは山賊につかまってしまいます。殺されて食べられてしまうところを、山賊の小娘に助けられます。山賊の城で眠ろうとしていると、小娘の飼っているハトがカイは雪の女王の車に乗っていたよ、たぶん「ラプランド」に行ったと思うよ、そこは年じゅう雪と氷でとざされているところだ、と教えてくれます。そしてそのそばにいたトナカイ(映画にもトナカイはいっぱい出てきます!)に、雪の女王のいるところはラプランドよりもっと北のスピッツベルゲンという島だと教わります。朝になってそのことを山賊の小娘に話すと、親切にも、トナカイにゲルダを雪の女王のところまで連れて行くように言ってくれるのでした。トナカイとゲルダは途中でラップ人の女やフィン人の女に助けられて、雪の女王のところにたどりつき、カイを救い出し、帰りもフィン人の女やラップ人の女のところに寄り、親切にしてもらいます。(今、本を見ながらまとめてみました、こんなに覚えていたわけではありません。)

Wikipediaによると、「ラップ人」というのは、古語・蔑称で、今はサーミ人と呼ぶのだそうです。
Wikipedia サーミ人

上のリンク先では映画でも出てくる「ヨイク」と呼ばれる即興歌についても解説されています。

この映画の監督さんはサーミの血を引いていて、主人公の少女エレ・マリャを演じた方もノルウェーでトナカイを飼っているサーミ人だそうです。妹役の少女は本当にこの人の妹だそうです。

映画の中で、サーミ人に対するスウェーデン人の偏見が痛いほど描かれています。映画を観ながら、これはよその国の話だと思ってはいけなくて、日本でもアイヌの人々・朝鮮の人々・台湾の人々・被差別部落の人々・「奇病」にかかった人々……に対して同じことが行われていたことを思い出さざるをえませんでした。彼女が自分の「におい」をすごく気にするところがとても痛々しかったです。

主人公のエレ・マリャは賢い子で、本を読むのが好きで、将来教師になりたいと思っています。自分に目をかけてくれる女性教師にその気持ちを伝え、高校に行きたいというのですが、それは無理だと言われてしまいます。サーミ人が劣等であることは科学的に証明されているというのです。彼女は結局、家出をします。……

その後どうなるかというのは、映画の冒頭で明らかにされています。年取った元教師の彼女が、疎遠にしていた妹の葬儀に、自分の息子に無理やり連れてこられるところから始まるんです。スウェーデン人になりきるためにサーミとの縁を切った彼女がどれだけ苦労したのか、どのように配偶者と出会ったのか……などは描かれていませんがそれはいやでも想像してしまいます。

岡山での上映は終わってしまいましたが、眉間の方はなにかのチャンスにぜひご覧ください。

※ 監督・主演女優インタビュー記事
自由のためにすべてを捨てた北欧トナカイ遊牧民の少女の物語『サーミの血』
http://www.webdice.jp/dice/detail/5477/
posted by dunno at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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