2018年09月06日

『娘役』(中山可穂)

中山可穂さんの『娘役』を読みました。前に『男役』という小説も書いておられましたが、それと同じで宝塚をテーマにした小説です。『男役』の詳細は覚えていないんだけれど、そっちより、今度の方がぐんと面白いという印象です。夕方読み始めて、途中食事や他の用事はしましたがそれを除くと、一気に読みました。

主人公は二人。最初に登場するのは片桐という若いヤクザ・片桐。組の鉄砲玉となって敵対する組のボスの命を狙います。子分も引き連れず一人で行動を始めたボスを追ってやってきたのがなんと宝塚大劇場。ダフ屋からチケットを買い、さらに、芝居が終わって休憩の時間中に札束で目標のすぐ後ろの座席を確保したのですが、レビューが始まって、あるとんでもないこと〜片桐の人生を変えてしまうような〜が起こり(読んでください☆)片桐と若い女優とがつながるんです。読んでいて、瞬間、一体何が起きたのかと思いましたよ。

小説では片桐の話と、その女優・野火ほたるの話が交互に語られます。どちらも面白いです。

それにしても、中山可穂さんの小説を読んでこんなに吹きだしたのは初めてかもしれません。もうおかしくって(特に片桐の話)。片桐がつけ狙った男は組員には秘密ですが宝塚の大ファン。そして片桐も宝塚にはまってしまうんです。ファンの気持ちがすごくうまく描かれています。

宝塚の生の舞台は実はまだ一度しか観ていませんが、宝塚の舞台は大好きです。似たようなのだと、ずっと昔SKDの舞台を観ました。これも楽しかった。特に男役にはまりました。だけど今回の『娘役』を読んで、男役の魅力を引き出すのは娘役の女優さんの力なんだなということを認識しました。娘役にはあまり関心がありませんでしたが、もし次のチャンスがあればそっちにも目を向けたいと思います。

宝塚のコアなファンの方はこの本を読んでどんな風に思われるのか……ということも気になります。また、宝塚を知らない方がこれを読んで観てみようかな……という気になってくれるとうれしいです。

で、読みながら思ったんですけど、どなたか大衆演劇を素材として面白い小説を書いてくれないでしょうか。大衆演劇がでてくる作品というと、思いつくのは、平安寿子(たいら・あすこ)さんの『グッドラックららばい 』ぐらいかな……。普通の主婦が家出して大衆演劇の劇団についていってしまう話です。ただ残念なのは大衆演劇の話はそれほど多くありません。もっといっぱい大衆演劇を扱っている小説はないもんでしょうか……。

そんなことを考えて検索してみると……案外ありますね。紙の本で出版されているものもあるし、ネットの投稿サイトで自由に読めるものもあります。

googleで検索 大衆演劇+小説

例えば、摩天楼・華さんの掌編群は以下のような場所で読めます:
https://kakuyomu.jp/users/yumemaboroshi
https://estar.jp/_crea_u?c=U2FsdGVkX18xXOTc5MDkyNru9VOIwtek9mxPUfzKlORxS01


中村桃子さんの「桃花舞台」の記事も、短編小説のように楽しむことができますね。役者さんのことがメインですが。
https://momo1122.at.webry.info/

映画では、『戦争を知らない子供たち』という1973年の作品で、家出した少年少女たちがドサまわりの劇団にお世話になる話がでてきます。ちょっとびっくり。でも今の大衆演劇とはかけ離れた世界でした。
posted by dunno at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書
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