2019年02月28日

唐版 風の又三郎@シアターコクーン

2月16日の晩、渋谷のシアターコクーンで『唐版 風の又三郎』を観てきました。

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シアターコクーンの『唐版 風の又三郎』のページ
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/19_kazemata/

演出は新宿梁山泊の金守珍。梁山泊の舞台は、2003年と2004年に観ていますし、状況劇場では1974年春公演で5回観ました。今回が8回目。

http://surgery.matrix.jp/ent/stages/index.html#s2003 (田原町、2003.7.12)
http://surgery.matrix.jp/ent/stages/index.html#s2004 (池袋、2004.12.1)

この芝居は、「風」や「飛行」「飛行機」「飛ぶ」などがキーワードなので、それを頭に入れてお読みください。また、過去の舞台に関してはかなり妄想が入っているかと思います。当時まだ20歳でしたからもう45年ですので、ご了承ください。

今回は色々カットして、3時間以内でおさめています。気づいたところでは、空腹の限界に挑戦する大学生のエピソードが丸ごとカットです。これは、主人公エリカが元の恋人の死体から切り取った肉1ポンドを食べてしまうというのと比べる意味で面白いと思ったところなのですが、まあ、カットしても特に筋立てには影響しないですね。まだ戯曲を読み返していないので、戯曲にあるかどうかわからないのですが、死体を入れた棺桶が空を飛ぶ……というような話の中で、唐がはいっている棺桶を投げ落としたシーンがあったと思うのですが、そういうのはカットでした。カットしたのか、ぼくの妄想なのかはわからないんですけどね。

状況の舞台が戯曲と違っていて、しかもその演出がすばらしかったのが、第一幕のラスト。舞台上に白いスクリーンがあって、そこに戦時中のニュース映像(片翼のみで帰還した英雄の話)が流れるシーン。映像が終わったとたん、スクリーンだと思っていたものが実は4枚並んだ縦に細長い板で、それが手前にパターンと他取れてきたんです。そしてその中から現れる航空兵(の亡霊)。つまり、4つの棺桶が並んでいたんです。鳥肌が立ちました!

この芝居は《『風の又三郎』の「教室」=「帝国探偵社」=この世と冥府をつなぐ場所》を舞台にした生者たちと死者たちの物語です。ギリシャ神話のオルフェとエウリディカを元にした織部とエリカが主人公(神話とは違って二人とも生きています)、それに対するのは自衛隊訓練基地から飛行機を乗り逃げして行方不明となった高田三郎/死の青年と死の少年。オルフェはエウリディカを求めて冥府に向かいますが、この話では、エリカ=エウリディカが高田三郎を求めて冥府につながるテイタンにやってくるという設定に変わっています。そのテイタンの前=小学校の教室のまわりで。織部とエリカが出会うのです。精神を病み、ある意味無垢な織部と元々は高田三郎を求めていたエリカは次第に相手に引き寄せられていきます。恋人というわけではなく、魂が寄り添う感じ……。一方の高田三郎はエリカに向かって「なぜ一人で来なかった!」と恐ろしいことばを投げつけます。そして、ラストでは、織部とエリカは飛行機に乗って飛び立っていくんです。胸が締め付けられるような芝居です。

第1幕ラストのことは上で書きましたが、第二幕もすごく面白い! 突然『ベニスの商人』になってしまうんです。そして、第三幕の公衆電話のシーンもいいんです。

エリカの長台詞(お茶の水の橋やニコライ堂の出てくる部分)もいいです。ニコライ堂に関連して下の記事でも『又三郎』について書いています。

ニコライ堂、聖橋
http://flim-flam.sblo.jp/article/180832752.html

先日、ハヤカワ演劇文庫で『唐十郎 T──少女仮面/唐版 風の又三郎/少女都市からの呼び声』が出ましたから、芝居を観た人も、舞台は見逃した人も、お手軽に読めるようになりました。ぜひぜひご一読をお勧めします。面白いです。

さて、今回エリカを演じたのは、元宝塚トップの柚木礼音さんです。初めてかなと思っていたんですが、観た後で、実は2004年11月に東京宝塚劇場で、歌劇「花舞う長安―玄宗と楊貴妃―」/ グランド・ショー「ロマンチカ宝塚'04―ドルチェ・ヴィータ!―」を観ていたことに気づきました。これに出ておられたんです。このとき星組トップは、湖月わたると檀れい。男役の二番手が安蘭けい。この安蘭けいにぼくははまってしまい、もう少し下の位置にいた柚木礼音には気づきませんでした。眼力がないですね。でも、安蘭けいってよかったですよね! ともかく柚木さんはすごいスターだから期待していましたが、いや、良かったです。エリカになったり、風の又三郎になったりするわけだから、宝塚の男役のスターって、この役にぴったりじゃないですか。そもそも、状況劇場は「アングラ宝塚」って呼ばれていたそうです。本当に宝塚の人が空の芝居をやってくれるというのは嬉しいです。劇場は、柚木さんのファンでいっぱいでした。圧倒的に女性が多かったです。ファンの方々のこの芝居に対する感想を聴きたいですね。2チャンネルあたりで読めるんでしょうか。長台詞もとても見事でした。引き込まれました。もちろん、踊りや歌は最高☆ 

でも……やっぱりからの芝居はテント、もしくはもっと小さなところで観たいな。

さて、近頃、断捨離というか終活というか、古いものを片付けているんですが、色んな書籍等を「自炊」しています。その中に唐関係のものもありますのでここに載せておこうと思います。

◎状況劇場『唐版 風の又三郎』チラシ(表、裏、および六月続演のもの)
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※当時は800円で観れたんです。
※表ではエリカの長台詞「あたしは、あのこの胸に、このこの胸に実を結ぶ風の落とし物。月光町にいたこともあれば、宇都宮のアゲ家にいたこともある。……」が読めます。

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※当時は800円で観れたんです。
※エリカの長台詞「今日は病院を抜け出して、お茶の水にまいりました。陸橋に顎をかけてあなたのヒコーキの来るのを待とうと思います。バラ色の雲をついてくるあんたの一機を。……」が読めます。

◎赤瀬川源平・虚虚実実実話櫻画報
「目的不明、奇怪な行動 福岡市で二人の男 [空腹の限界に竹ザオで挑戦?/屋根にすわり込む](48・5・19 西日本新聞より)」
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※手で雑誌から引っ張ったら、真ん中が破れてしまいました

◎単行本『唐版 風の又三郎』表紙
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◎朝日新聞・劇評(扇田昭彦)1974.5.16 夕刊
『陶酔的な美しさにあふれる 状況劇場 唐十郎版「風の又三郎」』
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◎読売新聞(?)社会面記事 1974.6.23 朝刊
『”モグラ”に日の目』 アングラ劇団 どの公演も大入り しらけ社会の興奮剤?
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posted by dunno at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇
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