2019年03月21日

弥生美術館と山本夏彦

なんとなく読んでみたくなって、山本夏彦の『寄せては返す波の音』を開いて、目次を眺めていたら、『「弥生美術館」を見る』というエッセイがありました。記憶になかったので、中身が気になって読んでみました。

でも、中身に入る前に、タイトルに違和感があります。妙な表現じゃないですか? まるで建物を見るような書き方ですが、読んでみると、実際には高畠華宵の絵について語っています。

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高畠華宵でぼくが思い浮かべるのは『馬賊の唄』の挿し絵の、馬と少年が頬を寄せて立っている絵。状況劇場や唐組の『吸血姫』のポスターで使われているもの。かなり怪しいですよね。検索してみて下さい。ああ、あれか、と思うはずです。

山本夏彦は子どもの頃、華宵の描いた挿し絵の載った雑誌「少年倶楽部」を読んでいました。華宵は画料が不満でライバル誌の「日本少年」に移りますが、最終的に「日本少年」が負けて廃刊になります。

山本夏彦はかなりきつく華宵のことを書いています。「子細に見るまでもなく華宵の画は下手である。デッサンがなってない。」「いま見れば気味が悪いが、大流行するものには気味が悪いところがなければならない。」「ただその時期を去ると神通力は失われる。夢二も華宵も終りを全うしていない。」

しかし最後のセンテンスを読んで、ぼくは胸が熱いものでいっぱいになりました。
「終りを全うできなかった」華宵をすくい上げた弥生美術館……好きな場所の一つです。




posted by dunno at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書
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