2019年09月10日

7月、8月、9月の禁酒会館マンスリーライブ〜そして無関係なあれこれ

[尾崎ツトムさんから『鳳仙花』についてコメントをいただきました。それに伴いリンクを追加したり、ミスを修正したりしています。そのしるしとしてをつけてあります。(2019.9.11)]
[『鳳仙花』の韓国語原詞に関するリンクを追加しました。をつけてあります。(2019.9.11夜)]

近頃無精になって、ブログの更新が著しく滞っています。あれやこれや書きたいなとは思っていても、日々の生活に追われ、家で何日もパソコンを開かないこともしばしば。禁酒会館マンスリーライブのことも、もう何か月も書いていません。7月からの簡単な記録だけでもつけておこうと思います。尾崎ツトムさんや市場恵子さんのfacebook記事から情報をコピペするぐらいしかできないかもしれないですけど……ともかく書き始めてみます。

7月5日は「浪花の歌う巨人」パギやんこと趙博さんの声体文藝館「水滴」(一人芝居)でした。「水滴」は目取真澄さん(すみません、苗字が読めませんでした〜めどるま しゅんと読むそうです)は沖縄の方で、この『水滴』で第117回芥川賞を受賞しておられます。予備知識はありませんでした。沖縄のことばが使われているということで、まず最初に沖縄方言のレッスンがありました。ただ、実際に沖縄弁だけで理解するのにはあまりにも付け焼刃すぎるので、標準語で同じ内容を繰り返すなどの工夫をしていただき、おおむね理解することができました。

『水滴』については例えばこちらをご覧ください:
山本藤光の文庫で読む500+αの記事
https://plaza.rakuten.co.jp/fujimitsu/diary/201801160002/

ともかく足の指が膨れてきてそこから水がどんどん出てくるというのですから、ある意味ファンタジーです。話を聞いていて連想したのは、中国の莫言(モー・イェン)の小説。夜の蟹捕りに行って妖精のような女の人に出会ったり(『夜の漁』)、食べるものがなくなって鉄を食べ始める子どもたちの話があったり、不思議な世界なのに妙に現実的、マジックリアリズムというらしいです。話がそれてしまうのですが、ぼくはこの『夜の漁』が大好き。最初はラジオの中国語講座でテキストとして出会いました。そのテキストを残しておけばよかったのに、毎月毎月テキストを買って、終わるとどんどん捨てていたので、残っていません。翻訳が「白い犬とブランコ」という短編集にはいったのを後に買いました。本のタイトルになっている「白い犬とブランコ」は霍建起(フォ・ジェンチー)監督が映画化しています(『暖〜ヌアン』)。日本公開時のタイトルは『故郷(ふるさと)の香り』でした。この監督はその前に『山の郵便配達』という映画も撮っておられます。こちらは莫言とは無関係。『山の郵便配達』といえば尾崎さんの歌「横並びで歩きたいね」で出てきますね。

話を元に戻しましょう。ともかく『水滴』はとっても面白かったです。

※沖縄、戦争、……と並べると、facebookのグループ「辺見庸と“独考”する!」
https://www.facebook.com/groups/1746207452326617/permalink/2507319456215409/
で紹介されていた、「検証『集団自決』 ジェンダーの視点から  宮城晴美」(琉球新報 2009年6月19日〜24日 @〜Cの四回連載)という記事が今頭にこびりついています。facbookをやっている方、ぜひ覗いてみてください。

※順番が逆ですが、オープニングのOZAKI UNITの演奏曲は以下のようだったそうです(尾崎さんのfacebook記事より)
@小さな館
A生きていくのに
Bホタル狩り(リードボーカル:渡部さん)
C安保50年

7月末にはもう一回マンスリーライブがあったのですが、それには参加できませんでした。

8月2日は、「身の程知らズ!の独りうた(ソロライブ)」と題して、尾崎ツトムさんのワンマンライブがありました。

下の曲目は尾崎さんのfacebook記事からいただきました(表記等は一切いじっていません)。二部の6と7は()で囲ってあるように、時間の都合でカットされました。※9月に唄われました。
【一部】
1. 小さな館
2. 僕らは
3. 八月、人は・・・
4. エンネさんのジャガイモのすり焼き
5. コールタトゥー(炭坑の刺青)
6. 鉱夫の祈り
7. 夕焼け
8. Come to my bedside
9. 花はどこへ行った
10. 虹の民

【二部】
1. 天狗
2. 大浦湾は誰のもの
3. そんな朝
4. 北の男たち
5. おにぎり
6. (牛窓オリーブ園の丘にて)
7. (今はワルツを)
8. インチュンフォア/迎春花
9. 鳳仙花
10. イムジン河
11. ナイーブ
12. 生きる時代

【アンコール】私に人生といえるものがあるなら

たった一人でこれだけの曲を歌われるパワーに感嘆します。体力温存のため、ややセーブして唄っておられるようにも感じました。リラックスして聴きました。第一部では高田渡さんのエピソードを愛情込めて語っておられました。

二部に「鳳仙花」という歌が入っています。実はぼくは「鳳仙花」と聞くと、胸がキュンとなるんです。……話が完全に脱線するのですが……ぼくが大学2年生のときからずっと好きだった状況劇場の女優・田口いくこさんが「好きな歌」として、「鳳仙花」という歌を挙げておられるんです:

村松友視の描く田口いくこさん
http://flim-flam.sblo.jp/article/46137635.html
状況劇場スター列伝
興奮の形体化
田口いくこ
(1) 誕生日:昭和25年9月24日
(2) 出身地:九州 天草
(3) 前の職業:本屋の地下倉庫係
(4) 好きな歌:「鳳仙花」
……

これがどの曲のことなのか、手掛かりは全くないのですが、雑誌「新評」の別冊として出版されたのが1974年ですので、それより古い歌です。それで、「鳳仙花」というタイトルの曲には弱いのです。

で、今検索してみたところ、日本の植民地であったころの韓国に「鳳仙花」という歌があって、その後、日本でも加藤登紀子さんがカバーしておられるようです。これかな……と思いますが、確かな証拠があるわけではありません。

李政美 「鳳仙花」 Lee Jeongmi 이정미 봉선화
https://youtu.be/zmp6mfJQ_7I
(雑音が多いですが、歌は素晴らしい☆)

河島英五 鳳仙花 with 加藤登紀子 5/20(1979年5月4日ライブ)
https://youtu.be/pe78P0TtqOM
※唄:加藤登紀子、ギター:河島英五

※この「鳳仙花」に関してとても詳しい記事がありました。記録のため、ここに載せておきます。
醍醐聰のブログ
鳳仙花二題――植民地韓国の辛酸と自国独立への希望を託した歌
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_8951.html

次のリンクは最初だけみて、歌詞が違うので別の曲と思っていましたが、ちゃんときくと同じ曲ですので文をいじり、位置を上にあげました。

また白竜という方も(映画『がんばっていきまっしょい』で主人公の父親をやった方として認識しています)「鳳仙花」という曲を唄っておられます。
https://youtu.be/bxfubYFLiLg

尾崎さんから、中山ラビさんの動画を紹介していただきましたのでここに入れます。白竜さんの動画と同じ歌詞ですが、2番だけ韓国語で歌っておられます。

中山ラビ 拾得Live 2012 鳳仙花〜トラジ
https://youtu.be/6Gu0J2ANdo4

で、この曲が尾崎さんが唄われた歌なのでしょうか……。もうずいぶん日が経ってしまったので、当日の記憶があまりません。「鳳仙花」の次に唄われたのが「イムジン河」ですから、つながり方はいい感じです。実は、雑花塾のCD文庫のvol.2が「ホウセン花ー韓国併合100年」です。このタイトルに釣られて、購入したのですが、このアルバムに入っているのは「鳳仙花」ではなくて「ホウセン花」。笠木さんの作詩の新しい曲。ですからこの「ホウセン花」が田口いくこさんの好きな「鳳仙花」ではありません。がっかりしてその後聴いてなかったのですが、今日、引っ張り出してよく見てみると、たしかに収録されているのは「ホウセン花」ですが、ケースの裏側に韓国の「鳳仙花」の笠木透訳が載っているではありませんか。尾崎さんはきっとこれを唄われたのでしょう。

尾崎さんによると、中山ラビさんや白竜さんの歌っている歌詞は藤公之介さんという作詞家による訳詞で、今回、尾崎さんの唄われたのは訳者不詳の限りなく直訳に近いものだったとのことでした。

松坂慶子さんも藤公之介バージョンで歌っていると教えて戴いましたが、ネットでは動画を見つけることができませんでした。ただ藤さんのサイトのリストには掲載されています:
藤 公之介作詞アーカイブス
http://www.maroon.dti.ne.jp/fuji-kou/archives.htm
松坂慶子さんに関するWikipedia情報によるとこの曲がはいったアルバムが出たのは1980年。ということはすくなくとも、1980年までに訳詞はすんでいるということになります。1974年とのギャップはまだ広いです。尾崎さんがコメントに書いてくださったように、田口いくこさんが好きな歌として挙げられた『鳳仙花』は韓国語バージョンだったのかもしれません。

韓国語原詞に関して論じているブログ記事へのリンクを2つ載せておきます。
●朝鮮の歌 『鳳仙花』
http://heinrichfuna.jugem.jp/?eid=109
3つの動画がリンクされています。
次の箇所がこたえました:
20年近く前、『鳳仙花』の歌を知ってそのメロディーと歌詞に魅かれ口ずさんだぼくは、親しくしていた韓国人の友人に「日本人には歌ってほしくない」と言われて衝撃を受けたことがある。それ以来ずっとこの歌はぼくにとって気にかかる存在だった。

●韓国のスタンダード歌謡、鳳仙花
https://ameblo.jp/sonnykim/entry-12197043687.html
日本人のものも含め6つの動画がリンクされています(すでに出ているものとの重複があります)。


続いて他の「鳳仙花」にもリンクしておきます。

上の演奏のあとのトークで加藤登紀子さんが言及されている中島みゆきさんの「ほうせんか」(1978年)のカバーです。
ほうせんか 中島みゆき 【cover】
https://youtu.be/I_ZfJEc94AY

また、島倉千代子さんも1981年の曲ですが「鳳仙花」を唄っておられます:
https://youtu.be/PVvLv5DyUGw

おまけで、田口いくこさんの入った写真を一枚載せておきます。扇田昭彦さんの本からとったものです。

taguchi_ikuko_palestine_C.jpg


9月6日は、「バラバラで一緒? それとも、バラバラでバラバラ?」いつのまにか20年…「OZAKI UNIT」 LIVEでした。『雑木群生』と『むらさきが丘に来ませんか』の2枚のアルバムをしっかり予習してこのライブに臨みました。

今回のライブ、すごかったです。尾崎さんの歌も、皆さんの演奏もかなりパワーがありました。尾崎さんも先月のソロライブで自信をつけられたのでしょう。のびのびと歌っておられました。途中、水の補給はしっかりとっておられました。

演目は尾崎さんのfacebook記事からのコピペです。

part 1.
・小さな館      (詩・曲:尾崎ツトム)
・野         (詩:日笠芙美子 曲:尾崎ツトム)
・光と影       (詩:日笠芙美子 曲:尾崎ツトム)
・絵かきじいさん   (詩:江文進一  曲:尾崎ツトム)
・横並びで歩きたいね (詩・曲:尾崎ツトム)
・木は立っている   (詩:日笠芙美子 曲:尾崎ツトム)
・雑木群生      (詩:笠木 透  曲:尾崎ツトム)

・渡部 学ソロ
・黒瀬尚彦ソロ

・川は忘れない    (詩:鈴木幹夫  曲:尾崎ツトム)
・ナナカマド     (詩:笠木 透  曲:尾崎ツトム)

・ここで、ご常連の稲垣純雄さんが参加されている、国鉄のうたごえ合唱団「じれん」が新しいCDの紹介を兼ねて荒木栄「夜明けだ」など3曲を演奏。  

 休  憩

part 2.
・歴史教科書     (詩:笠木 透  曲:尾崎ツトム)
・愛するもののために (詩:笠木 透  曲:尾崎ツトム)
・我らの時代     (詩:尾崎ツトム 曲:鈴木幹夫)

・牛窓オリーブ園の丘にて (詩:尾崎ツトム 曲:川崎正美)
・今はワルツを      (詩:尾崎ツトム 曲:鈴木幹夫)
・君を想う        (詩:尾崎ツトム 曲:川崎草汰)
・語る          (詩:尾崎ツトム 曲:上田達生)
・恵那山         (詩:鈴木幹夫 曲:尾崎ツトム)

《アンコール》
・大谷哲子ソロ
  「鳥の歌」(カタロニア民謡 編曲:パブロ・カザルス)
・風は        (詩:日笠芙美子 曲:尾崎ツトム)

第二部最後の「恵那山」はツレが先月のライブのあとで、尾崎さんにリクエストしたもの☆ 好きな曲ですが、自分たちではサビの「見上げれば〜恵那山」というところしか歌えません。この歌が好きだったので、ツレは以前から恵那山登山したかったのですが、最近やっと夢がかないました。でも、曇りで、下から見上げても恵那山は見えなかったそうです。

ぼくはリクエストはしませんでしたが、「木は立っている」か「ナナカマド」が聴きたいな……と思っていました。嬉しいことに両方、歌ってくださいました。

それにしても、尾崎さんは単に歌がうまいだけではなく、詞や曲を長い間、次々に作ってこられて、その創作力に圧倒されます。すごいことだと思います。今回の企画はとてもよかったです。感謝!
posted by dunno at 22:29| Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽
この記事へのコメント
 幅広くアートの分野に精通しておられる方が岡山禁酒會舘マンスリーライブを聴き続けてくださっていることは、大変有難く、そして誇らしく感じています。
 しかし、簡単な感想と言えども、文章を書くにはエネルギーを必要としますね。今回、マンスリーライブ3ヶ月分のコメントをしてくださったこと、嬉しく思っています。
 パギやんの「水滴」、面白かったですね。11月に「決定版」が大阪で上演されるようなので、観に行きたいと思っています。
 また、8〜9月のソロライブとOZAKI UNIT単独ライブについても、コメントを頂き、有難うございます。
 状況劇場の田口いくこさんがお好きな歌は、間違いなく、韓国の「鳳仙花」でしょうね。ちなみに、私が8月に歌った「鳳仙花」は笠木さんの訳ではなく、限りなく直訳に近い歌詞で歌わせて頂きました。ライブのときも申し上げましたが、私はポーランドの禁じられた歌「今日は会えない」と「鳳仙花」が重なってしまいます。
 最後に、企画が良かったと書いてくださっていること、嬉しく思います。
Posted by ozaki at 2019年09月11日 01:28
ポーランドの「禁じられた歌」のタイトルは…
「今日は会えない」より、「今日は帰れない」の方が一般的かも知れません。
Posted by ozaki at 2019年09月11日 10:22
ozakiさま、コメントや情報、たくさんいただき、ありがとうございました。

ポーランドの曲は『今日は会えない』で検索しても『今日は帰れない』が出てきました。2種類聴いてみましたが、これもいい曲ですね。

『鳳仙花』は三・一独立運動(1919年)の翌年作られたそうですが……今年(2019年)は三・一独立運動100周年だったのですね。日本人がこのあたりの歴史を勉強するとてもいいチャンスだと思いますが、全然そんな話はマスコミ等からは聞こえてきません。

田口いくこさんの選ばれた歌がこの『鳳仙花』だったことはとても嬉しいです。

※本当に韓国語版のこの『鳳仙花』だったかどうかは、ご本人に訊かなくてはたしかめられません。これが今できる精いっぱいのことです。伝手をたどれば不可能なことではありませんが、きっと色んなひとにとってそれは迷惑なことでしょうからやめておきます。

だいぶ前、田口さんが40歳ぐらいで亡くなられたという情報をネットでいただいたことがあって、とてもショックを受けました。田口さんと昔親しかった方からも、同じ情報をいただき、できることなら墓参りをしたいね、という話になって、どうやったらご家族に連絡できるだろうと、相談しました。昔、田口さんとお話しした時、ぼくと同じ大学に弟さんがいるということを聞いていました。話の雰囲気で同じ学年(2年生)かその下のようでした。でも該当する学生は数千人いて、どうやって見つけたらいいか、当時はわかりませんでした。するとその田口さんと親しかった方が、弟さんの高校を知っていると言われたのでした。九州地方の有名高校でした。それでぼくが、数学をやっている人たちにその高校出身で僕と同じか一つ下の学年の人をしらないかと尋ねまくったところ、大学の数学科の1つ下の学年で、話をしたことのある人がその高校出身であるとわかりました。彼に連絡すると、たしかに田口君という人がいて同じ大学に入ったということがわかりました。彼自身は弟さんと直接親しかったわけではありませんでしたが、共通の友だちがみつけて連絡先を調べ、弟さんに田口いくこさんのことを問い合わせてくれたんです。そうすると、なんと弟さんから彼に返事があって、お姉さんは元気にしているとのこと☆
 それを伝えてもらい、本当に嬉しかったです。まだ60代。きっとお元気でしょう。目を閉じれば、あのやさしそうだった田口さんの顔が浮かびます。

尾崎さん、またいつか『鳳仙花』を唄ってくださいね。
Posted by dunno at 2019年09月11日 12:45
『鳳仙花』の曲が作られたのは三・一独立運動のすぐあとでしたが、それに詞がつけられたのは5年後だということが記事中の「鳳仙花二題」に書いてありました。上のコメント、その部分、修正です。
Posted by dunno at 2019年09月11日 13:08
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