2014年03月30日

最近読んだ本

東京に出張したとき池袋のジュンク堂で前から読みたかった加納朋子さんの「無菌病棟より愛をこめて」をみつけたので、すぐに購入しました。加納朋子さんの本は多分ほとんど読んでいます(あまりたくさん書かれないので……)。大ファンです。この本は、加納さんが急性白血病と診断されてからの闘病記で、小説ではありません。白血病や類似の病気と闘っている知人が複数あったので、これは読んでおきたいと思っていたんです。残念なことに、そのうちのお一人は昨年、5年間の闘病のあと亡くなってしまわれました(去年は若い友人を二人もがんで失ってしまいました……)。

白血病は他のがんより治りやすいと思っていたのですが、その治療は想像以上に辛いものなのですね。この本でそれがよくわかりました。でも、加納さんは本当によくがんばられました。

きっこのブログで紹介されていますので、ぜひそちらもお読みください。加納さんの文章にもリンクが張られています。
2012.03.30
新刊の紹介『無菌病棟より愛をこめて』加納朋子著
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2012/03/post-e8be.html

さて、この本は単に闘病記が綴られているわけではなくて、彼女の読書日記にもなっているんです。その中で一番力が入っていると感じたのは、9月11日の項(単行本のp.181〜)に出てくる『百瀬、こっちを向いて。』(中田永一・祥伝社)です。加納さんの感想は以下の通り:
『百瀬』、読了。これはやっぱり乙一さんでしょう。と言うより、隠す気ないでしょう。丸出しでしょう。ペンネームだって、Z1に対するA1ってことよね、きっと。面白かった。満足。

乙一さんの本はかなり読んでいましたが、中田永一名義のものは未読。気になって、まず kindle で出ている『くちびるに歌を』を読みました。中学校の合唱部のお話。NHKの第75回全国学校音楽コンクール(2008年)出場を目指してがんばるんです。課題曲は「手紙(〜拝啓 十五の君へ〜)」。これはちょうど、実家でテレビをつけたら合唱コンクールをやっていて、何度もこの曲を聴いてあたまにしみこんでしまった懐かしい曲。課題曲としては珍しく「ヒット」しました。

金賞受賞校の映像:
郡山市立郡山第二中学校 課題曲「手紙」


文化系の部活動でコンクールを目指す話というと、演劇部を描いた『幕が上がる』もとても良かったですが、『くちびるに歌を』の方が早いんですね。

2013年03月22日
平田オリザの青春小説『幕が上がる』
http://flim-flam.sblo.jp/article/63975154.html

『くちびるに歌を』はエピローグで泣きました。単に部活動を描いた青春小説というだけでなく、永遠に失われてしまったものが奇蹟により蘇る話なんです。実は、それを匂わすエピソードもあったんです。パソコンに保存されているあるファイルを消去してしまうという話が出てきて、それは実行されるのですが、そのとき、実際には復元できるということが書かれているんです。これって、まさにプロローグの奇蹟のことをいっているように思えます。

それからもうひとつ。この合唱部は本来指導している女性教師Aが産休になってしまうので、その教師の友人B(やはり女性)が臨時の講師として着任して1年間指導するという設定なんです。Bはある理由によりAに対して屈折した気持ちを持っていて、Aの妊娠にもとってもわだかまりがあるんです。で、このBってけっこう男っぽいところがあるんです。はっきりとは書かれてはいないけれど、Bが好きだったという某人物よりもこのAのことをもっと好きだったのではないかという気がしました。ちょっと切ない……。

なかなかの傑作でした。乙一名義で一番最近読んだ『箱庭図書館』も面白かったですが、これはもっといいかもしれません。

文庫で中田永一名義の『百瀬、こっちを向いて。』と『吉祥寺の朝比奈君』も買いました。『百瀬』は4つの作品からなる短編集でした。ぼくのツボにもろにはまるいい作品集でした。『吉祥寺』はなかなか微妙で風変わりな作品ぞろいでしたが、表題作が一番良かったです。

さて、その『百瀬』なのですが、読み始めてしばらくしたときに、真ん中あたりに一枚のレシートがはさまっているのに気づきました。これです:

tgd01.jpg tgd02.jpg

東北学院大学の生協の2012年7月26日付けの『現代アジア経済論』という本のレシートです。こんなものに心当たりはありません。ちなみに、この本を購入したのは岡山市内の新刊書店Mです。古本屋ではありません。裏のメモ「マキア 来月からいらない☆」は購入者が書いたのでしょうか。検索してみるとマキアというのは女性の美容に関する雑誌のようです。レシートにはこの書籍のISBNも書かれているので調べてみると、著者はなんと東北学院大学の教員でした。ということは、講義の教科書であった可能性が高くなります。日付が4月でなく7月末ということは、おそらく期末試験に教科書が持ち込み可となったので、慌てて購入したのではないだろうか……などと想像してしまいました。

それにしても、どうしてこのレシートがこ『百瀬』の文庫本の中に入ってしまったのでしょう。一体誰が、いつ、どこで……。気になります。

『百瀬』は映画化されていて( http://momose-movie.com/ )、5月に公開されるようです。文庫本も、白い表紙に青い文字だけが印刷されているふるいものと、映画の場面写真が印刷されているものの2種類が重ねて置かれていました。ぼくは写真があるのはいやなので、文字だけのものを奥から取り出して購入しました。平成22年の第2刷。倉庫に入っていたのが映画化で急に日の目をみたものでしょうか。

乙一なら、きっとこれぐらいの材料があれば切ないお話を作ってしまうかもしれませんね。

このレシートに心当たりのある方はこっそりメールで教えてください。よろしくお願いします。
posted by dunno at 23:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書
この記事へのコメント
著者さんの闘病記と知って愕然としました。治ってよかったです。
気力とか前向きさとか人の良さが良く伝わってくる一冊でした。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2017年06月27日 08:12
藍色さま

コメントありがとうございます。
いいお名前ですね。
以前、台湾の映画で『藍色夏恋』という素敵な青春映画があって、それを思い出しました。

トラックバックというのがよく分かっておりません。調べてみます。
Posted by dunno at 2017年06月28日 22:46
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