2016年03月29日

恵比寿のシス書店

恵比寿のシス書店(LIBRAIRIE6)が6周年記念で開催しておられた「6 year exhibition LIBRAIRIE6」展に、3/19(最終日前日)に行ってきました。

先日亡くなられた合田佐和子さんの絵も3点展示されていました。他には、宇野亞喜良さん、四谷シモンさん、金子國義さん、合田ノブヨさん、建石修志さん、など多くの作家の作品がありましたが、いちばん気に入ったのは菅野まり子さんの作品でした。黒地に独特な中世的雰囲気の絵を描かれます。不思議な魅力があります。

検索:
菅野まり子

シス書店では、今年の終わり頃、菅野まり子さんと他の方の2人展か3人展を企画しておられるそうです。ぜひ観に行きたいと思います。

シス書展での過去の個展(菅野まり子 「孤島にて」展 )
http://librairie6.exblog.jp/21230018/

菅野さんの作品も、合田佐和子さんの作品も素敵でしたが、結局古本を2冊購入して帰りました。白水社の「新しい世界の短編」というシリーズの中から第一巻「木立の中の日々」(マルグリット・デュラス)と第三巻「十三の無気味な物語」(ハンス・へニー・ヤーン)です。

「木立〜」のほうは帰りの新幹線でほとんど読んでしまいました。不思議な味わいの面白い短編集でした。表題作「木立の中の日々」は、女友達と同棲している貧乏な男の所に、急に金回りのよくなった母親がやってくる話。かみ合わない会話が絶妙。笑えます。母親と息子の関係というのはほんとにしんどいものですね〜。二つ目の「ボア」には一番ぎょっとしました。ボアというのは動物園にいる大きい蛇です。日曜ごとに若鶏を丸のみし『嚥下』するのを見に行く二人の話。このあともうひとつの『嚥下』が出てくるところがとてもショッキングでおぞましいです。未読の方がほとんどでしょうから、これ以上は書きません。好きな話か?ときかれると答えにためらってしまいますが、ものすごく印象に残る話でした。三番目の「ドダン夫人」はアパートの門番(つまり管理人)であるドダン夫人の話。彼女が住人のゴミ出しにすごくこだわる話です。けっこうおかしい話。最後の「工事現場」はホテルに宿泊している男と女の出会いの話。他の話と違って胸がときめく話です。よかった☆

他の方の感想を探してみました:

アリアドネの部屋
デュラス『木立の中の日々』
http://blogs.yahoo.co.jp/takata_hiroshi_320/23765631.html

晴読雨読ときどき韓国語
『木立の中の日々』(マルグリット・デュラス著、平岡篤頼訳、白水社)
http://nishina.exblog.jp/13186749/

記憶の彼方へ
マルグリット・デュラスの塩漬けキャベツ
http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20111110/p1

流れ去る時間/停滞した瞬間(マルグリット・デュラス)
小川美登里
http://www.gallia.jp/texte/50/50ogawa.pdf

鳥乃声 花乃蜜
マルグリット・デュラスとか
http://cotomin.jugem.jp/?eid=320

近くの方で読んでごらんになりたいかたにはお貸ししますよ。

もう一冊の方は未読です。読んで面白かったら感想を書くことにします。
posted by dunno at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2015年09月23日

劉暁慶の「恋の自白録」

最近、新幹線や電車・ジーゼル(笑)に乗るチャンスが多く、タブレットに入れていた「中国大女優・恋の自白録」(劉暁慶[リュウ・シャオチン]、水野衛子訳、文藝春秋)を読みました。かなり昔に一度読んでいましたが、pdfにしてから読むのは初めて。かなり忘れていたので、とても面白かったです。

jihakuroku.jpg

不倫のこと、離婚のこと、金儲けのこと……信じられないくらい赤裸々に書かれています。訳者の水野さんの後書きによると、それでもかなり怪しいところがいっぱいらしいので、真実はもっとすごかったのでしょうか。

一番面白くなるのはやはり姜文(チアン・ウェン)が出てくるところから。劉暁慶が彼の才能に惚れ込み、恋に落ちる様子をどきどきしながら読みました。そして夫との離婚問題のドロドロもすごかったです。さらに、姜文の初監督作品になる『太陽の少年』の資金作りの苦労話も、ぼくとしては興味のあるところ。そんなに尽くした姜文との別れについては最後の章「34. 『太陽の少年』」でさらっと書かれているだけ。劉暁慶を念頭に置いて書かれた米蘭(ミーラン)という少女を年齢の問題から結局寧静(ニン・チン)が演じ、その寧静と姜文が恋仲になってしまったのですから、かわいそうな気もします。(寧静の名前はこの本では出てきません)

2002年にはまた脱税問題が起き、莫大な罰金を払ったようですね。

>> Wikipedia

ちょうどその年の夏北京に行ったとき、テレビでもその件が話題になっていました:

dscf0204.jpg

最近では「中国の美魔女」としても日本のテレビ等でも話題になっていたとか……。

この人のパワーを、「恋の自白録」を読んで感じました。すごい人です。チャンスがあればぜひご一読をお勧めします。

※シネマジャーナル40号に載った紹介記事は web 上でも読むことができます:
http://www.cinemajournal.net/bn/40/jihaku.html
posted by dunno at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2015年04月21日

Springtime a la Carte

映画や舞台を観るのも楽しいのですが、読書も好きです。ただ最近は読むスピードががくっと落ちてしまい、一冊読むのにすごく時間がかかります。年ですね〜。

読書関係のブログもいろいろ覗いているのですが、昔、森茉莉さん関係で検索して見つけた「カフェと本なしでは一日もいられない。〜カフェ通いと読書に明け暮れる日々。 ⓒatelier.sumire.gingetsu」もその一つです。
http://blog.livedoor.jp/kyoto_cafe/
このブログの右コラムのCategoriesを見ると興味の対象がとてもよくわかります。
書いておられるのは森茉莉さんにかぶれて名前まで変えてしまったという早川茉莉さん。我が家にも何冊か本があります。
サイトのメインのページはこれでしょうか:
http://sumire-gingetsu.petit.cc/

早川さんへのインタビュー記事も面白い! 東城百合子さんの「自然療法」は我が家のバイブルです。
いちじょうじ人間山脈 第三十三回 早川茉莉さん(編集者)
http://keibunsha.sakura.ne.jp/ningen/interview120125.html

さて、先日、「カフェと本なしでは一日もいられない。」にこういう記事がありました:
「いとしいウォルター、堅ゆでの玉子つき」(「お好み料理の春」より)
http://blog.livedoor.jp/kyoto_cafe/archives/52076250.html
O・ヘンリーの短編の紹介でした。「アラカルトの春」という翻訳も出ているそうです。これがとても面白かったです。ちょっと作りすぎの話ですが、なかなかドラマチックなオチ。いいです。

ダイジェストでなくて、本物を読もうと青空文庫を見てみましたが、O・ヘンリーの作品はほんの少ししかありませんでした。それで、仕方なく他を検索したら次のサイトにありました:

American Literature
http://americanliterature.com/

Springtime a la Carte
http://americanliterature.com/author/o-henry/short-story/springtime-a-la-carte

さすがにちょっと古くさい言い回しが多くて読みにくいです。早川さんのダイジェストを読んでいなければ、最初のあたりは何を言いたいのかさっぱりわからなかったかも。

手紙の時代でなければ成立しないロマンチックなお話です。

他の作品も読みたくなるかもしれないので、備忘録としてここに書き留めておきました。
posted by dunno at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2015年01月31日

『素足の季節』小手鞠るい

岡山駅の書店でふと手に取った文庫本が岡山を舞台にしていたので、旅の友として購入。面白くてすぐに読んでしまいました。

ハルキ文庫の新刊で『素足の季節』という本です。著者は小手鞠るいさん。初めて読みました。岡山出身なのですね。

主人公は岡山市の県立A高校の1年生女子。県立では他にS高校とD高校の名前がでてきますので、これはもろに朝日高校のことですね。

紹介文より:
県立岡山A高校に入学した杉本香織は、読書が好きで、孤独が好きで、空想と妄想が得意な一六歳。隣のクラスの間宮優美から、ある日、演劇部に誘われる。チェーホフの『かもめ』をアレンジすることが決まっているという。思いがけずその脚本を任されることになった香織は、六人の仲間たちとともに突き進んでゆく――。少女たちのむき出しの喜怒哀楽を、彫り深く、瑞正な筆致で綴った、著者渾身の書き下ろし長篇小説。


女子高校生の青春ものでは、映画化された(もしくは予定の)『でーれーガールズ』『幕が上がる』『くちびるに歌を』がありますが、『でーれー〜』とは岡山という舞台が同じですし、『幕が〜』とは演劇部が舞台という点で重なっています。『くちびる〜』は合唱部の話。どれもよかったです。

関連過去記事:
最近読んだ本(2014.3.30)
http://flim-flam.sblo.jp/article/92058361.html
平田オリザの青春小説『幕が上がる』(2013.3.22)
http://flim-flam.sblo.jp/article/63975154.html
でーれーガールズ(2011.9.22)
http://flim-flam.sblo.jp/article/48071949.html

『素足の季節』もこれらに匹敵する作品でした。比べるとよりリアルかもしれません。

作者は学年がぼくと2つぐらいしか違わないので、描かれている岡山自体を知らないのですが、時代の雰囲気を感じることもできました。作品の中で「温石」という和食のお店が出てきてびっくり。うちのすぐ近くにそういうお店があるのですが、そのお店のことでしょうか。ちなみに「おんじゃく」と読みます。また表町にいい本屋さんがあったそうで、大事なシーンでその書店が使われていました。ぼくが岡山に来た10年前にはもう、そのお店はありませんでした。残念。

上でリアル、と書いたのは中身がけっこうドロドロしているところです。主人公のとる行動にも首をかしげてしまうところが多々ありますが、無理に理想化されていなくて自然なのかな、と思いました。

岡山の方ならぜひぜひ、そうでない方でも青春ものの好きな方はぜひどうぞ。オススメです。
posted by dunno at 13:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2015年01月26日

ことのは文庫(徳島)

出張で徳島に行ってきました。駅前の本屋さんに徳島関係の本のコーナーがあったので覗いてみたら、面白そうな本がいっぱい☆ とくに「ことのは文庫」のシリーズが気に入って4冊も購入してしまいました。

徳島県立文学書道館というところが出しています。
徳島県立文学書道館のサイト:
http://www.bungakushodo.jp/
刊行物のページ:
http://www.bungakushodo.jp/publications.html
(ことのは文庫は下の方にあります)

買ったのは以下の4冊です。

「寂聴自伝 花ひらく足あと」(瀬戸内寂聴)
寂聴さんの自伝や自伝的小説はいくつかありますが、これは知りませんでした。もともと20世紀の終わり頃、徳島新聞に連載されたものだそうです。

「童話・爪先の落書き」(賀川豊彦)
この作者の社会問題を扱った本は読んだことがありますが、童話というのは初めて。鳴門の出身なのですね。

「北条民雄選集 いのちの初夜」(北条民雄)
「いのちの初夜」は読んでいますが、ぜひ他の作品も読みたいと思い買いました。

「海野十三短編集1 三人の双生児」(海野十三)
学生の頃、「新青年傑作選」というケース入り五巻の本を買いましたが、その中で一番印象に残ったのが海野十三の「三人の双生児」。実はごく最近、また読み返しました。本は山口の実家にあるので青空文庫で読みました:
青空文庫「三人の双生児」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card1252.html
i文庫で読めるはずです。kindleでも読めるはずです。

幼い頃の思い出を求めて……そしてそれが最後にかなうところの切なさがなんともいえない後味を残します。悪趣味なところがあるので、人によっては途中でいやになるかもしれませんが、ぜひ最後まで読んで下さい。短い作品です。

なぜこの本をわざわざ買ったかというと、この作品の次に『「三人の双生児」の故郷に帰る』というエッセイが載っているんです。海野十三は徳島出身だったんですね、知りませんでした。「三人の双生児」には安宅村という場所が出てくるのですが、安宅というのは実際には徳島市にあって、彼が実際に住んでいた場所なのです。エッセイに出てくる「四所神社」は今もありますし、「安宅橋」というのは「安宅大橋」「安宅新橋」のどちらかなのではないかと思われます(四所神社に近いのは安宅新橋の方)。徳島駅から東へほんの1,2キロ程度東に行ったところです。残念ながら、この本を読んだのが帰りの「うずしお」の中。そもそも、今日は朝7時半から夕方5時半過ぎまで、徳島大学にいたので、観に行く時間なんかありませんでした。今度徳島に来るチャンスがあればぜひこのあたりを歩いてみたいと思います。エッセイには写真も多く載っていますが、さすがに状態が悪くはっきりは写っていません。またそもそもこのエッセイが発表されたのも昭和12年ですので、写真に写っているような風景は見ることはできないでしょう。30数年ぶりに帰ったふるさとの様子を描いたエッセイです。ちなみに、「三人の双生児」自体は昭和9年に発表されています。

※このエッセイはちくま文庫の「海野十三集 三人の双生児 ―怪奇探偵小説傑作選5」にも入るそうです。kindle でも読めますが、きっとこちらは写真なしでしょうね。
posted by dunno at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2014年11月13日

「現代秀歌」永田和宏(岩波新書)

今日は出張で蒲郡に向かっています。旅の友として持ってきたのは永田和宏さんの「現代秀歌」。この前に出た「近代秀歌」もなかなかよかったのですが、この新刊の方がやはりわかりやすいし、なじみやすいです。

100人の歌人が取り上げられています。

164ページから168ページにかけて永井陽子さんの作品が紹介されています。すごく心に染み入って来て、胸のなかがいっぱいになり、ここで読書は中断。

僕と同様にこの方を知らなかった人にも知ってもらいたいので、ここで紹介したいと思います。


ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり

ゆふぐれに櫛をひろへりゆふぐれの櫛はわたしにひろはれしのみ

ここに来てゐることを知る者もなし雨の赤穂ににはとり三羽

死ぬまへに留守番電話にするべしとなにゆゑおもふ雨の降る夜は

父を見送り母を見送りこの世にはだあれもゐないながき夏至の日


なんというかすごくさみしい歌ばかり。この人のことが気になられたら、ぜひ書店で手にとって見てください。
posted by dunno at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2014年11月03日

久坂葉子がいた神戸

神戸の旅の最後は神戸文学館です。

文学館のページ:
http://www.kobe-np.co.jp/info/bungakukan/

20141101151952.jpg

とても美しい建物です。

神戸文学館のすべて:
http://www.kobebungakukan.jp/

こちら↑には今回の企画展「久坂葉子がいた神戸」の様子も写真で紹介されています。

チラシ

久坂葉子に関しては前のページでも紹介しましたが、早川茉莉さんのブログ「カフェと本なしでは一日もいられない」の中に「久坂葉子」のカテゴリーが作られていて、たくさんの詩などが紹介されています:
http://blog.livedoor.jp/kyoto_cafe/archives/cat_50011683.html

早川茉莉さんは、森茉莉さんのすごいファンで、それでペンネームを「茉莉」に変えられた方ですが、他の作家さんのこともたくさん書いておられます。久坂葉子に関しては、作品集までまとめられておられます。

久坂葉子の作品は青空文庫でいくつか読むことができます。
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1052.html#sakuhin_list_1

幾度目かの最期 (新字新仮名、作品ID:4970) 
落ちてゆく世界 (新字新仮名、作品ID:4967) 
久坂葉子の誕生と死亡 (新字新仮名、作品ID:13203) 
入梅 (新字新仮名、作品ID:4964) 
灰色の記憶 (新字新仮名、作品ID:4968) 
華々しき瞬間 (新字新仮名、作品ID:4969) 

amazonでもkindle版を入手できます。無料です。

神戸文学館で開催されたトークセミナーに出席された方のブログが興味深かったです。
「ハルジオン この空の下で」(ののはさん)
神戸文学館 「久坂葉子がいた神戸」展へ
http://ameblo.jp/nonoha010/entry-11935425768.html

帰りの新幹線で『落ちてゆく世界』を読みましたが、没落してゆく神戸の名家がリアルに(実際とほとんど同じなのかな……)描かれていました。この先が気になるので、他の作品も読んでしまいそうです。

posted by dunno at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2014年03月30日

最近読んだ本

東京に出張したとき池袋のジュンク堂で前から読みたかった加納朋子さんの「無菌病棟より愛をこめて」をみつけたので、すぐに購入しました。加納朋子さんの本は多分ほとんど読んでいます(あまりたくさん書かれないので……)。大ファンです。この本は、加納さんが急性白血病と診断されてからの闘病記で、小説ではありません。白血病や類似の病気と闘っている知人が複数あったので、これは読んでおきたいと思っていたんです。残念なことに、そのうちのお一人は昨年、5年間の闘病のあと亡くなってしまわれました(去年は若い友人を二人もがんで失ってしまいました……)。

白血病は他のがんより治りやすいと思っていたのですが、その治療は想像以上に辛いものなのですね。この本でそれがよくわかりました。でも、加納さんは本当によくがんばられました。

きっこのブログで紹介されていますので、ぜひそちらもお読みください。加納さんの文章にもリンクが張られています。
2012.03.30
新刊の紹介『無菌病棟より愛をこめて』加納朋子著
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2012/03/post-e8be.html

さて、この本は単に闘病記が綴られているわけではなくて、彼女の読書日記にもなっているんです。その中で一番力が入っていると感じたのは、9月11日の項(単行本のp.181〜)に出てくる『百瀬、こっちを向いて。』(中田永一・祥伝社)です。加納さんの感想は以下の通り:
『百瀬』、読了。これはやっぱり乙一さんでしょう。と言うより、隠す気ないでしょう。丸出しでしょう。ペンネームだって、Z1に対するA1ってことよね、きっと。面白かった。満足。

乙一さんの本はかなり読んでいましたが、中田永一名義のものは未読。気になって、まず kindle で出ている『くちびるに歌を』を読みました。中学校の合唱部のお話。NHKの第75回全国学校音楽コンクール(2008年)出場を目指してがんばるんです。課題曲は「手紙(〜拝啓 十五の君へ〜)」。これはちょうど、実家でテレビをつけたら合唱コンクールをやっていて、何度もこの曲を聴いてあたまにしみこんでしまった懐かしい曲。課題曲としては珍しく「ヒット」しました。

金賞受賞校の映像:
郡山市立郡山第二中学校 課題曲「手紙」


文化系の部活動でコンクールを目指す話というと、演劇部を描いた『幕が上がる』もとても良かったですが、『くちびるに歌を』の方が早いんですね。

2013年03月22日
平田オリザの青春小説『幕が上がる』
http://flim-flam.sblo.jp/article/63975154.html

『くちびるに歌を』はエピローグで泣きました。単に部活動を描いた青春小説というだけでなく、永遠に失われてしまったものが奇蹟により蘇る話なんです。実は、それを匂わすエピソードもあったんです。パソコンに保存されているあるファイルを消去してしまうという話が出てきて、それは実行されるのですが、そのとき、実際には復元できるということが書かれているんです。これって、まさにプロローグの奇蹟のことをいっているように思えます。

それからもうひとつ。この合唱部は本来指導している女性教師Aが産休になってしまうので、その教師の友人B(やはり女性)が臨時の講師として着任して1年間指導するという設定なんです。Bはある理由によりAに対して屈折した気持ちを持っていて、Aの妊娠にもとってもわだかまりがあるんです。で、このBってけっこう男っぽいところがあるんです。はっきりとは書かれてはいないけれど、Bが好きだったという某人物よりもこのAのことをもっと好きだったのではないかという気がしました。ちょっと切ない……。

なかなかの傑作でした。乙一名義で一番最近読んだ『箱庭図書館』も面白かったですが、これはもっといいかもしれません。

文庫で中田永一名義の『百瀬、こっちを向いて。』と『吉祥寺の朝比奈君』も買いました。『百瀬』は4つの作品からなる短編集でした。ぼくのツボにもろにはまるいい作品集でした。『吉祥寺』はなかなか微妙で風変わりな作品ぞろいでしたが、表題作が一番良かったです。

さて、その『百瀬』なのですが、読み始めてしばらくしたときに、真ん中あたりに一枚のレシートがはさまっているのに気づきました。これです:

tgd01.jpg tgd02.jpg

東北学院大学の生協の2012年7月26日付けの『現代アジア経済論』という本のレシートです。こんなものに心当たりはありません。ちなみに、この本を購入したのは岡山市内の新刊書店Mです。古本屋ではありません。裏のメモ「マキア 来月からいらない☆」は購入者が書いたのでしょうか。検索してみるとマキアというのは女性の美容に関する雑誌のようです。レシートにはこの書籍のISBNも書かれているので調べてみると、著者はなんと東北学院大学の教員でした。ということは、講義の教科書であった可能性が高くなります。日付が4月でなく7月末ということは、おそらく期末試験に教科書が持ち込み可となったので、慌てて購入したのではないだろうか……などと想像してしまいました。

それにしても、どうしてこのレシートがこ『百瀬』の文庫本の中に入ってしまったのでしょう。一体誰が、いつ、どこで……。気になります。

『百瀬』は映画化されていて( http://momose-movie.com/ )、5月に公開されるようです。文庫本も、白い表紙に青い文字だけが印刷されているふるいものと、映画の場面写真が印刷されているものの2種類が重ねて置かれていました。ぼくは写真があるのはいやなので、文字だけのものを奥から取り出して購入しました。平成22年の第2刷。倉庫に入っていたのが映画化で急に日の目をみたものでしょうか。

乙一なら、きっとこれぐらいの材料があれば切ないお話を作ってしまうかもしれませんね。

このレシートに心当たりのある方はこっそりメールで教えてください。よろしくお願いします。
posted by dunno at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書