2014年06月06日

Cornell Topology Festival 2012

前の記事で Ithaca が出てきたので Cornell Topology Festival のサイトを調べたら、2012年の講演の映像がまとめられているのを知りました。どれもおもしろそうなものばかり。ひとつが50分ぐらいなので、一度には見られませんので、ここにリンクしておくことにします。

Cornellcast
Cornell Topology Festival
http://www.cornell.edu/video/playlist/cornell-topology-festival

Peter Teichner さんが4次元トポロジーの話をしているのを見ました。
Iterated Disk Constructions in 4-Manifold Topology
1930年代の話からゆっくり話を進めています。

日本にもこんな感じの集会があるといいのですが……。

なお、Cornell Topology Festival のサイトはこちらです:
http://www.math.cornell.edu/~festival/index.php

2013年はお休み。
2014年は7月23日〜27日に the mathematical legacy of Bill Thurston というコンファランスが予定されているようです。
http://www.math.cornell.edu/~thurston/
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2013年05月03日

geneagrapher--Mathematics Genealogy Grapher

David Alber さんのツール geneagrapher をインストールして見ました。
サイト:
http://www.davidalber.net/geneagrapher/

これはMathematics Genealogy Projectという数学者の師弟関係情報を集めたサイトから指定した人物の“祖先たち”や“子孫たち”の情報を集めてくるソフトです。

例えば J. H. C. Whitehead というイギリスの数学者のページを Mathematics Genealogy Project のサイトで検索してみると、次のように見つかりますのでそのページのURLに表示されている ID (この場合は 1423)をメモします:
http://genealogy.math.ndsu.nodak.edu/id.php?id=1423

そして、(Windowsの場合) コマンドプロンプトで
ggrapher -a -f jhcw.dot 1423
と入力してエンターキーをおすと、しばらく何もおきません(通信しているのです)が数分たつと、プログラムが終了してまたプロンプトが復活します。すると、指定した名前の jhcw.dot というファイルができています。

このファイルはテキストファイルですので、エディターで読むことができます。中には“祖先たち”の名前や情報がまず並び、その後に誰と誰の間に師弟関係があるのかという関係を24507 -> 24513; のような形式で ID を使って表した行がずらっと並んでいます。

このファイルを頂点やそれらを結ぶ矢印からできた「グラフ」のデータとして、dot というプログラム(Graphviz--Graph Visualization Softwareの中のひとつのツール)を使って画像化します。

これを使って自分の“祖先たち”のグラフを作ってみました:
http://surgery.matrix.jp/ancestors.html

ggrapher で得られたデータをそのまま使うと1400年代のデータなどまで、しかも博士号を取得した大学名まで、入っているので膨大になって訳がわからなくなるので、dot ファイルを編集してトリミングしました。なにしろコペルニクスまで入ってくるんですから。

ただ、上のものでも十分複雑なので下の方だけ切り取ったものを載せておきます:

my_b.png

データを一気に取得するため、 ggrapher はサーバーに負担をかけます、多分。なので、あまり頻繁に使うのは顰蹙ものなのですが、試しに Ranicki さんの系図を作ってみました。

ranicki.png

ぼくの祖先と重なる部分が出てくる所(Lefschetz)までを切り取ってみました。大学名まで入ったバージョンです。予想より近い所で重なりました。

上の例で出した J. H. C. Whitehead の例は実行していないのですが、Poisson ぐらいまで遡らないといけないようです。

さて、この ggrapher ですが、サイトの指示の通りにはすんなりとインストールできなかったのでここにキーポイントをメモしておきます。

まず Python が入っていなかったのでインストールしました。2の系列の最新安定版(2.7)をえらべばよいです。

次に、Windows 用の ggrapher をダウンロードして、展開しました。そのトップディレクトリに setup.py があるので、コマンドプロンプトでその場所に移り、次のコマンドを実行しました。
python setup.py install
すると、setuptools-0.6c9-py2.7.egg がないので、ネットからダウンロードしてインストールする旨のメッセージを出して、そのまま失敗してしまいます。

検索してみると、Python のサイトにこのファイルは見つからず(だから失敗する)、替わりに setuptools-0.6c11-py2.7.egg というのが見つかったのでこれをダウンロードし、setup.py と同じ場所に置きました。もう一度実行。やはり番号が違うのでこれを使ってくれません。そこで名前の11を9に書き換えて、また実行。やはりダメです。そこでエディタ(xyzzyを使っています)でこのeggファイルを開き、先頭部分に書き込んであるファイル名の11を9に書き換えて保存。これで実行すると上手くインストールが完了しました。C:\Python27\Scripts の中に ggrapher.exe ができていました。eggファイルはバイナリーファイルっぽかったので、メモ帳ではうまく編集できないかもしれません。

※ ez_setup.py の方にはこのバージョンを書き込んである場所がありましたが、ちょっと素人にはいじれない感じです。setup.py の方はバージョンの指定箇所を見つけられませんでした。

そうそう、C:\Python27\Scripts をPathの中に登録しておかないといけませんでした。

これで遊んで何かいいことがあるわけではないですが、昔の人が身近に感じられてきて楽しいです。
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2012年12月15日

PISAの街灯問題

来年度の教員免許更新講習の講師の仕事がまわってきてしまいました。担当の方には基礎理学科の学生たちがとってもお世話になっているのでとても断れません。なにかいいトピックはないかな……と考えていて、そうだ、あれにしよう! と決めたのがタイトルにある『PISAの街灯問題』です。

PISAというのはOECDの国際学力到達度調査のことです。日本の生徒のランキングの話題がときどき話題になったりしますね。

PISAが重視する学力に関しては賛否両論あって、福岡大学の柴田勝征さんは反対派で、精力的に批判の文書を書いておられます。

論文集「学力の比較に異議あり」シリーズ
http://www1.rsp.fukuoka-u.ac.jp/#igi-ari-1

その第4巻「街灯は三角形をした公園のどこに設置すべきか」でとりあげたPISAの問題(数学)が、皮肉なことになかなか面白いのです。というか、学力比較に用いるにはあまりにも難しすぎる問題というべきかも。実はぼくも、わからなくて柴田さんの論文にある解答を読んでしまいました(根性なしですね〜)。

問題は以下の通りです:

[数学問題例 1: 街灯]
町議会は、小さな三角形の形をした公園に一本の街灯を設置することにしました。その
街灯は公園全体を照らすものとします。街灯はどこに設置したらよいでしょうか。

こういう実際的な問題を解決しようとすると、まず、どういう状態を「良い」と考えるのか、それを自分で決めなければなりません。さらには、数学的に解決するには状況をすごくシンプルにしなければなりません。例えば、木がたくさんはえていたり、岩が転がっていたりすれば、問題がすごく難しくなります。

PISAはどうやら、問題を解きやすいように解釈して解答をでっちあげることを重視しているような気配があります。

柴田さんは、この問題を見て、平らでなにも障害物のない公園の地面が受け取る光の総量を最大にするのが“エコ的”に最善だと考えられたようです。でも、これって、柴田さんの論文(特に第2章)を見ると、無茶苦茶難しい問題なんです。学生でも理解できる……と書いてあるけれど、相当な辛抱強さが必要な気がします。ぼくには無理。

一方、出題者側が想定したのは「公園の中の最も暗い部分ができるだけ明るくなるようにする」のが「良い」ということなのだそうです。確かに一理あります。街灯をどこに設置しても、一番明るい所は街灯の真下で、それはランプと街灯の高さで決まってしまいますが、一番暗い所は街灯から最も遠い所になり、それはそこまでの距離が近いほど明るいわけです。そう考えると、最も適切なのは、三角形の公園をすっぽり含む円でもっとも小さいものを見つけ、その中心を答えればよい、ということになります(第4巻 p.5)。

さてそのような点は一体どこでしょう。
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2011年08月04日

Quillen氏逝去 (2011/4/30)

最近の数学関係の情報にとんとうとくなっていて、4月末に Daniel Quillen が亡くなられたことを、今日受け取った IMU のニュース・メールで知りました。

Segalの書いた追悼記事はこちら:
http://www.guardian.co.uk/science/2011/jun/23/daniel-quillen-obituary

70歳というのは若すぎます。アルツハイマーにかかっておられたのですね……。

大学院生の時、クイレンの Higher Algebraic K-theory の論文を頑張って読もうと1年ぐらいあれやこれやしましたが、結局ものになりませんでした。

こういうニュースを聞くと、自分もそっちの世界にだんだん近づいているのを自覚させられます。生きている間に、満足できる仕事をひとつぐらいは仕上げたいものです。まぁ、その前に、9月末が締切の仕事をすませなければ!
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2010年11月11日

どうやって考える?

今日(夜中をすぎたのでもう昨日になってしまいましたが……)、お昼ご飯を食べた後、アメリカ数学会(AMS)のNotices of AMS 10月号を眺めていました。特集記事に"Reminiscences of Grothendieck and His School" (グロタンディークとその学派の追想)というのがありました。グロタンディークというのは1928年生まれでフランスで活躍した天才でしたが、突如数学界から身をひいてしまい、82歳の今も、家族と離れて隠遁生活をしているらしい伝説の巨人です>>Wikipedia

この記事には彼の学生であったIllusieという人がインタビューで語った思い出話が書かれています。パリ郊外にあるグロタンディークの自宅で指導を受けることもよくあったようです。午後2時くらいから勉強を開始し、4時頃、休憩で散歩したりお茶を飲んだり。その後また勉強を続け、7時頃グロタンディークの家族と一緒に短めの夕食をとり、またすぐ勉強を続け、11時半頃終了。Illusieさんが最終電車でパリに帰るのを駅まで見送ってくれたそうです。

その部分に書かれているのですが、グロタンディークは「書きながらでないと考えられない」と言ったそうです。実際、いつも紙を用意して、すぐそれに書き始め、文字や記号を何度も何度もなぞるんだそうです。もちろんだんだん太く濃くなっていくわけです。一方Illusieさん自身は、考え事をするときは、最初は目を閉じて考えたり、寝転がったりというのが合っているそうです。こういうのって人に依って違うから面白いですね。昔、深谷氏が「パソコンで入力しながら考える」と言っておられたような記憶がありますけれど、それは論文を書くときの話だったかな? いくらなんでもパソコンの前にいないと考えられない……というわけではないでしょう(笑)。うーむ、ひょっとしたら今の世の中、そんな人もけっこうあったりするかもしれません。

ぼく自身は普通は紙に書きながら考えます。たいていゴミ箱に直行ですが(苦笑)。
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2010年05月26日

Martin Gardner 氏、死去

作家のマーティン・ガードナー氏が5月22日、亡くなられました。

今日、トランプのことを調べていて-MISDIRECTION- というブログの追悼記事を読んで初めて知りました。

この記事では David SUZUKI という方の作られた"The Nature of Things / Martin Gardner"という45分くらいのドキュメンタリーを紹介しておられます。これはとても面白い作品でした。数学者ではConwayやCoxeterも出てきます。またマジシャンのJames Randiも出ていました。Martin Gardner が Scientific American に初めて書いたコラムが hexaflexagon だという話が出ていました。もし作ってご覧になりたい方は、Google検索で色々見つかると思います。

上の記事では、Randiによる追悼文も紹介してありました。

Gardnerは数理パズルなどの本もありますが、「エセ科学」や「超能力」などを取り上げた本が一番面白いです。Randi もマジシャンの立場からそういう本を書いています。とはいうものの、引っ越しでみな捨ててしましたが……。

Science: Good , Bad, and Bogus (Martin Gardner)
bogus.gif

Flim-Flam! (James Randi)
flim.gif

(このブログの名前の出所はこれです……)
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2010年03月11日

旺文社の「数学基礎」教科書の謎

先日、岡山一宮高等学校・理数科で出張講義をした際、準備に使ったのが偶然手元にあった旺文社の数学基礎の教科書でした:
文部科学賞検定済教科書・172・旺文社・数基004
高等学校数学科用「数学基礎」長岡亮介/森正武 編
(平成14年1月20日文部科学省検定済・平成17年1月11日印刷・1月20日発行)

実のところ、数学基礎というのはつまらない科目だと思って中をきちんと覗いたことはなかったんです。普通科やましてや理数科の生徒たちがこの教科書に触れるようなことはおそらくなかったと思います。ところが今回中身をみてびっくり。これはすごい本なのでした☆ (一番下に目次を載せておきます)

たとえば第5章「円周率πに迫る」では、円の面積や円周の長さを議論した後、正多角形を用いた円周率の近似値を求める話を解説していて、章末には正八角形を用いた近似値の問題が出ています。例の東大の入試問題「円周率πが3.05より大きいことを証明せよ」が出題されたのが平成15年ですから、その時点でこの教科書は検定済みなわけです。決して後追いではないんです。曲線の長さとはなにか、面積とはなにか、円周率とはなにか、という数学の「基礎」をしっかり考えてみようという、とてもよい本ではないですか! 公式だけ覚えて、知っているパターンの問題なら解ける……という生徒ならいっぱいいると思いますが、そういう人もこんな教科書を使って色々考えてみる機会があると、ずいぶん変わっていくと思います。

そして、第4章「図形パズルにひそむ数学」というのが無茶苦茶面白いんです。和算の「裁ち合わせ」とよばれる図形パズルをとりあげています。そのうち二つ挙げてみます。できますか?

[1] 横32、縦50の長方形の布を階段状に裁ち切り、それをつなぎ合わせて正方形にしなさい。(山田正重『改算記』より)

[2] 8x8 と 6x6 の2つの正方形を裁ち合わせて、10x10の正方形を作りなさい。(中根彦循『勘者御伽双紙』より) ※切ってできるピースは5枚にしてください(^^)。

下の問題は「正の数 a, b, c が a2 + b2 = c2 をみたすとき、axa と bxb の2つの正方形を5枚に裁ち合わせて cxc の正方形を作りなさい」という形に一般化することができます。三平方の定理との関係が面白いです。また、上の関係をみたす整数 a, b, c (ピタゴラス数)の見つけ方にも言及しているんですよ☆

ちなみに、どんな多角形も裁ち合わせて正方形にすることができます(ボヤイ=ゲルヴィンの定理)。

どうです? この教科書読んでみたくなりませんか? ところが……なぜかこの教科書は今使われていないんです。平成14年1月に検定済となった「数学基礎」の教科書は少なくとも5つあったのです(数基001〜005)。ところが文部科学省の教科書目録のページを見てみると、そこに掲載されている平成18年4月目録〜平成21年4月目録のどれにも、数学基礎は004(本教科書)以外の4冊しか載っていないのです。いったいどういうことなのでしょう。内容が高度すぎてどこの高校でも採用されなかった……とかそういうことでもあったのでしょうか。それともどこかに致命的なミスでもあったのでしょうか。

他の本のうちの1冊を手にとってみましたが、ため息がでるくらい退屈な教科書でした。なんだか残念ですね〜、こんな面白い本が消えてしまったのは(下の追記参照)。

それでは、目次を紹介しておきます:

目次
第1章 数の望遠鏡・数の顕微鏡
第2章 数を表す記号
第3章 分数の不思議
第4章 図形パズルにひそむ数学
第5章 円周率πに迫る
第6章 ひもが生み出す面積
第7章 ゲームと必勝法
第8章 利子とローン
第9章 「でたらめ」の科学
第10章 統計の力
第11章 数学から見た環境問題
第12章 歴史に見る数学
付 録 電卓の使い方

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追記

ここまで書いて投稿した後、なんと第一章が公開されていることに気づきました!

旺文社のサイトに「長岡亮介先生の高等学校数学参考書・本質シリーズ」というページがあるんです。
http://www.obunsha.co.jp/service/nagaoka/
その中に、「数学基礎」第一章のpdfファイルとそのLaTeXソースが掲載されています。素晴らしい! 残りも気になることはなりますが……。

また TeX WikiTeXで作られた本のページでも紹介されていました。
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2009年12月12日

変換群論シンポジウム最終日

変換群論も今日で終わりました。杉本町でぐずぐずしている森本さんたちを見捨てて、天王寺・大阪・新大阪を経由して無事岡山に戻ってきました。大阪も面白いですけれど、岡山に戻ると落ち着きますね〜。

昨夜服部先生に贈呈された花束は、会場の黒板脇にガラスの器に活けられていました☆

TS3I0274.jpg

いや、服部先生もあれを持って宿舎に戻っても困るだろうなとは思っていたんです(笑)。枡田さんが善処されたようでした。

さて、今日も、午前中2つ、午後3つというなかなかハードなスケジュール。トリは韓国科学技術院のSuhさん。パソコンを使わず、黒板とチョークでの講演でした。初日・二日目は別の会場で黒板がありませんでしたが、今日は普通の講義室が会場だったんです。

で、数学の講演は、やはり黒板を使うのが一番いいです。パソコンでのプレゼンテーションがダメっていうわけではないんですけれど、手で書くときの速度、これが聴く人の理解に最適なんです。書画カメラやOHPを使うときでも、あらかじめ準備されたものを次々取り替えて映すんではなくて、その場で、紙やOHPシートに手で書き込んで下さるときはすごくよくわかる気がします。いきなりだらだらって式がいっぱい出てきたりすると、頭がパニックになって、それを読んでみようという気力も(ぼくの場合は)無くなってしまうんです。

これって、数学の特殊事情なのでしょうか。
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