2015年05月10日

命題論理

かなり前のことですが、誰かのブログで次のような問題が話題になっていました。

ronri.jpg

画像が見づらいかもしれないので、テキストでも書いておきます:

次の(1)と(2)が正しいと仮定します:
(1) Xは空でない集合である。
(2) (∀x∈X(P(x)))⇒Q(X)
このとき、(3)は正しいでしょうか?
(3) ∃x∈X(P(x)⇒Q(X))

ここで, P(x)はxを変数とする命題関数、Q(X)はXを変数とする命題関数です。
例えば、次のような場合は(2)が成り立っています。
P(x): xの絶対値は1以下である
Q(X): Xは閉区間[-1,1]の部分集合である。

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2014年11月15日

大川哲介さんのこと

13日から今日まで蒲郡に行って変換群論シンポジウムに出席してきました。
蒲郡は初めてで、そもそもどこにあるのか知りませんでした。愛知県だったんですね……。

シンポジウムの会場で、ショッキングなニュースを聞きました。広島工大の大川哲介さんが7月に亡くなられたのだそうです。9月に広島大学で開催された学会に行ったとき、お見かけしないなとは思っていました。最後にお会いしたのは昨年の3月。岡山理科大学での研究集会に来られて、夜、懇親会に一緒に参加しました。

大川さんはお名前の通り、数学に関するご自分の哲学をお持ちで、岡山に来られたときも、研究というのは単なる計算だけではいけない、と熱く語っておられました。

大学院の時一つ上の学年におられ、指導教員はちがっていましたが、いつも一緒にゼミをやっていました。加藤先生のスキー合宿で、一緒に雪まみれになって、スキーを覚えました。共著の論文も書きました。当時はかなり geometric なことをやっておられましたが、広島に移られてからはホモトピー論の方に力を注がれ、あまり一緒の研究集会に出るようなことはなくなりました。それでも、時々、突然メールをくださって、問題を出されたりしましたが、答えられず、ふがいなさを露呈してしまいました。あとはパソコン関係の話題が多かったです。

いつの頃だったか(21世紀になった頃、多分)、数学の問題集(大学レベルからもっと易しいものまで色々)のサイトを作られたり、またmidiファイルの作成などにも力を入れておられました。それらも皆なくなってしまいました。残念です。

合掌

[2014.11.16 追加]
大川さんのされた仕事で一番頭に残っているのは2次元多面体の話(修士論文の一部)です。

n本の線分からなる閉折れ線を底とする一点からの錐は、nが5以下の時曲率正、nが6のとき曲率0、nが7以上であるとき曲率負であるとよぶことにします。つまり各三角形が正三角形とした場合、6枚でできていれば平らなので曲率が0、それより少なければとがるので正、多ければひだひだになるので負と決めるわけです。

で、定理は「多面体が曲率正の錐を含まなければ、その多面体はK(π,1)である(2次元以上のホモトピー群は消える)」です。大川さんがM1のときの頃の結果だと思います。曲面になっている場合などは確かにそうだろうな……とは思いますが、どうやって証明すればいいのか不思議に思いました。

興味のある方は数理解析研究所講究録にも記事があるので、是非ご覧下さい。次のリンク先の、一番上の『2次元単体複体に対する Cartan の定理の analogy』です。

Kyoto University Research Information Repository > 著者: "大川, 哲介"

残念ながら、すでに他の人が証明していることがわかって、正式に出版されるということはありませんでした。

[2015.8.19追加]
名古屋大学の大沢健夫さんによる追悼文が名古屋大学理学部・大学院理学研究科広報誌・理フィロソフィア(第28号 spring-summer2015)のコラム「理のエッセイ」に「もう一人の数学バカを偲んで」というタイトルで掲載されています。

理フィロソフィア第28号:
http://www.sci.nagoya-u.ac.jp/images/kouhou/28.pdf

もしくはこちらから:
http://www.sci.nagoya-u.ac.jp/kouhou/index.html
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2014年06月06日

Cornell Topology Festival 2012

前の記事で Ithaca が出てきたので Cornell Topology Festival のサイトを調べたら、2012年の講演の映像がまとめられているのを知りました。どれもおもしろそうなものばかり。ひとつが50分ぐらいなので、一度には見られませんので、ここにリンクしておくことにします。

Cornellcast
Cornell Topology Festival
http://www.cornell.edu/video/playlist/cornell-topology-festival

Peter Teichner さんが4次元トポロジーの話をしているのを見ました。
Iterated Disk Constructions in 4-Manifold Topology
1930年代の話からゆっくり話を進めています。

日本にもこんな感じの集会があるといいのですが……。

なお、Cornell Topology Festival のサイトはこちらです:
http://www.math.cornell.edu/~festival/index.php

2013年はお休み。
2014年は7月23日〜27日に the mathematical legacy of Bill Thurston というコンファランスが予定されているようです。
http://www.math.cornell.edu/~thurston/
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2013年05月03日

geneagrapher--Mathematics Genealogy Grapher

David Alber さんのツール geneagrapher をインストールして見ました。
サイト:
http://www.davidalber.net/geneagrapher/

これはMathematics Genealogy Projectという数学者の師弟関係情報を集めたサイトから指定した人物の“祖先たち”や“子孫たち”の情報を集めてくるソフトです。

例えば J. H. C. Whitehead というイギリスの数学者のページを Mathematics Genealogy Project のサイトで検索してみると、次のように見つかりますのでそのページのURLに表示されている ID (この場合は 1423)をメモします:
http://genealogy.math.ndsu.nodak.edu/id.php?id=1423

そして、(Windowsの場合) コマンドプロンプトで
ggrapher -a -f jhcw.dot 1423
と入力してエンターキーをおすと、しばらく何もおきません(通信しているのです)が数分たつと、プログラムが終了してまたプロンプトが復活します。すると、指定した名前の jhcw.dot というファイルができています。

このファイルはテキストファイルですので、エディターで読むことができます。中には“祖先たち”の名前や情報がまず並び、その後に誰と誰の間に師弟関係があるのかという関係を24507 -> 24513; のような形式で ID を使って表した行がずらっと並んでいます。

このファイルを頂点やそれらを結ぶ矢印からできた「グラフ」のデータとして、dot というプログラム(Graphviz--Graph Visualization Softwareの中のひとつのツール)を使って画像化します。

これを使って自分の“祖先たち”のグラフを作ってみました:
http://surgery.matrix.jp/ancestors.html

ggrapher で得られたデータをそのまま使うと1400年代のデータなどまで、しかも博士号を取得した大学名まで、入っているので膨大になって訳がわからなくなるので、dot ファイルを編集してトリミングしました。なにしろコペルニクスまで入ってくるんですから。

ただ、上のものでも十分複雑なので下の方だけ切り取ったものを載せておきます:

my_b.png

データを一気に取得するため、 ggrapher はサーバーに負担をかけます、多分。なので、あまり頻繁に使うのは顰蹙ものなのですが、試しに Ranicki さんの系図を作ってみました。

ranicki.png

ぼくの祖先と重なる部分が出てくる所(Lefschetz)までを切り取ってみました。大学名まで入ったバージョンです。予想より近い所で重なりました。

上の例で出した J. H. C. Whitehead の例は実行していないのですが、Poisson ぐらいまで遡らないといけないようです。

さて、この ggrapher ですが、サイトの指示の通りにはすんなりとインストールできなかったのでここにキーポイントをメモしておきます。

まず Python が入っていなかったのでインストールしました。2の系列の最新安定版(2.7)をえらべばよいです。

次に、Windows 用の ggrapher をダウンロードして、展開しました。そのトップディレクトリに setup.py があるので、コマンドプロンプトでその場所に移り、次のコマンドを実行しました。
python setup.py install
すると、setuptools-0.6c9-py2.7.egg がないので、ネットからダウンロードしてインストールする旨のメッセージを出して、そのまま失敗してしまいます。

検索してみると、Python のサイトにこのファイルは見つからず(だから失敗する)、替わりに setuptools-0.6c11-py2.7.egg というのが見つかったのでこれをダウンロードし、setup.py と同じ場所に置きました。もう一度実行。やはり番号が違うのでこれを使ってくれません。そこで名前の11を9に書き換えて、また実行。やはりダメです。そこでエディタ(xyzzyを使っています)でこのeggファイルを開き、先頭部分に書き込んであるファイル名の11を9に書き換えて保存。これで実行すると上手くインストールが完了しました。C:\Python27\Scripts の中に ggrapher.exe ができていました。eggファイルはバイナリーファイルっぽかったので、メモ帳ではうまく編集できないかもしれません。

※ ez_setup.py の方にはこのバージョンを書き込んである場所がありましたが、ちょっと素人にはいじれない感じです。setup.py の方はバージョンの指定箇所を見つけられませんでした。

そうそう、C:\Python27\Scripts をPathの中に登録しておかないといけませんでした。

これで遊んで何かいいことがあるわけではないですが、昔の人が身近に感じられてきて楽しいです。
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2012年12月15日

PISAの街灯問題

来年度の教員免許更新講習の講師の仕事がまわってきてしまいました。担当の方には基礎理学科の学生たちがとってもお世話になっているのでとても断れません。なにかいいトピックはないかな……と考えていて、そうだ、あれにしよう! と決めたのがタイトルにある『PISAの街灯問題』です。

PISAというのはOECDの国際学力到達度調査のことです。日本の生徒のランキングの話題がときどき話題になったりしますね。

PISAが重視する学力に関しては賛否両論あって、福岡大学の柴田勝征さんは反対派で、精力的に批判の文書を書いておられます。

論文集「学力の比較に異議あり」シリーズ
http://www1.rsp.fukuoka-u.ac.jp/#igi-ari-1

その第4巻「街灯は三角形をした公園のどこに設置すべきか」でとりあげたPISAの問題(数学)が、皮肉なことになかなか面白いのです。というか、学力比較に用いるにはあまりにも難しすぎる問題というべきかも。実はぼくも、わからなくて柴田さんの論文にある解答を読んでしまいました(根性なしですね〜)。

問題は以下の通りです:

[数学問題例 1: 街灯]
町議会は、小さな三角形の形をした公園に一本の街灯を設置することにしました。その
街灯は公園全体を照らすものとします。街灯はどこに設置したらよいでしょうか。

こういう実際的な問題を解決しようとすると、まず、どういう状態を「良い」と考えるのか、それを自分で決めなければなりません。さらには、数学的に解決するには状況をすごくシンプルにしなければなりません。例えば、木がたくさんはえていたり、岩が転がっていたりすれば、問題がすごく難しくなります。

PISAはどうやら、問題を解きやすいように解釈して解答をでっちあげることを重視しているような気配があります。

柴田さんは、この問題を見て、平らでなにも障害物のない公園の地面が受け取る光の総量を最大にするのが“エコ的”に最善だと考えられたようです。でも、これって、柴田さんの論文(特に第2章)を見ると、無茶苦茶難しい問題なんです。学生でも理解できる……と書いてあるけれど、相当な辛抱強さが必要な気がします。ぼくには無理。

一方、出題者側が想定したのは「公園の中の最も暗い部分ができるだけ明るくなるようにする」のが「良い」ということなのだそうです。確かに一理あります。街灯をどこに設置しても、一番明るい所は街灯の真下で、それはランプと街灯の高さで決まってしまいますが、一番暗い所は街灯から最も遠い所になり、それはそこまでの距離が近いほど明るいわけです。そう考えると、最も適切なのは、三角形の公園をすっぽり含む円でもっとも小さいものを見つけ、その中心を答えればよい、ということになります(第4巻 p.5)。

さてそのような点は一体どこでしょう。
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2011年08月04日

Quillen氏逝去 (2011/4/30)

最近の数学関係の情報にとんとうとくなっていて、4月末に Daniel Quillen が亡くなられたことを、今日受け取った IMU のニュース・メールで知りました。

Segalの書いた追悼記事はこちら:
http://www.guardian.co.uk/science/2011/jun/23/daniel-quillen-obituary

70歳というのは若すぎます。アルツハイマーにかかっておられたのですね……。

大学院生の時、クイレンの Higher Algebraic K-theory の論文を頑張って読もうと1年ぐらいあれやこれやしましたが、結局ものになりませんでした。

こういうニュースを聞くと、自分もそっちの世界にだんだん近づいているのを自覚させられます。生きている間に、満足できる仕事をひとつぐらいは仕上げたいものです。まぁ、その前に、9月末が締切の仕事をすませなければ!
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2010年11月11日

どうやって考える?

今日(夜中をすぎたのでもう昨日になってしまいましたが……)、お昼ご飯を食べた後、アメリカ数学会(AMS)のNotices of AMS 10月号を眺めていました。特集記事に"Reminiscences of Grothendieck and His School" (グロタンディークとその学派の追想)というのがありました。グロタンディークというのは1928年生まれでフランスで活躍した天才でしたが、突如数学界から身をひいてしまい、82歳の今も、家族と離れて隠遁生活をしているらしい伝説の巨人です>>Wikipedia

この記事には彼の学生であったIllusieという人がインタビューで語った思い出話が書かれています。パリ郊外にあるグロタンディークの自宅で指導を受けることもよくあったようです。午後2時くらいから勉強を開始し、4時頃、休憩で散歩したりお茶を飲んだり。その後また勉強を続け、7時頃グロタンディークの家族と一緒に短めの夕食をとり、またすぐ勉強を続け、11時半頃終了。Illusieさんが最終電車でパリに帰るのを駅まで見送ってくれたそうです。

その部分に書かれているのですが、グロタンディークは「書きながらでないと考えられない」と言ったそうです。実際、いつも紙を用意して、すぐそれに書き始め、文字や記号を何度も何度もなぞるんだそうです。もちろんだんだん太く濃くなっていくわけです。一方Illusieさん自身は、考え事をするときは、最初は目を閉じて考えたり、寝転がったりというのが合っているそうです。こういうのって人に依って違うから面白いですね。昔、深谷氏が「パソコンで入力しながら考える」と言っておられたような記憶がありますけれど、それは論文を書くときの話だったかな? いくらなんでもパソコンの前にいないと考えられない……というわけではないでしょう(笑)。うーむ、ひょっとしたら今の世の中、そんな人もけっこうあったりするかもしれません。

ぼく自身は普通は紙に書きながら考えます。たいていゴミ箱に直行ですが(苦笑)。
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2010年05月26日

Martin Gardner 氏、死去

作家のマーティン・ガードナー氏が5月22日、亡くなられました。

今日、トランプのことを調べていて-MISDIRECTION- というブログの追悼記事を読んで初めて知りました。

この記事では David SUZUKI という方の作られた"The Nature of Things / Martin Gardner"という45分くらいのドキュメンタリーを紹介しておられます。これはとても面白い作品でした。数学者ではConwayやCoxeterも出てきます。またマジシャンのJames Randiも出ていました。Martin Gardner が Scientific American に初めて書いたコラムが hexaflexagon だという話が出ていました。もし作ってご覧になりたい方は、Google検索で色々見つかると思います。

上の記事では、Randiによる追悼文も紹介してありました。

Gardnerは数理パズルなどの本もありますが、「エセ科学」や「超能力」などを取り上げた本が一番面白いです。Randi もマジシャンの立場からそういう本を書いています。とはいうものの、引っ越しでみな捨ててしましたが……。

Science: Good , Bad, and Bogus (Martin Gardner)
bogus.gif

Flim-Flam! (James Randi)
flim.gif

(このブログの名前の出所はこれです……)
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